本日は晴天なり
先週の火曜日。夕方に会社を出ると、定休日のトラベラーズファクトリー中目黒に向かった。17時半を少し過ぎたところで、ファクトリーに着く。まだ明るい空からは強い日差しが降り注いでいる。だいぶ日が長くなったんだな。そんなことを思いながら、先に着いていたスタッフに「遅れてごめんね」と言った。
店内に入ろうと、裏口に回るとセコムのカードをタッチして、ドアに鍵を差し込む。鍵をくるりと回転させて、引き戸を開けようとすると動かない。ここの鍵にはちょっとしたクセがある。僕は鍵を奥まで差し込み、慎重にひっかかるのを感じながらゆっくり回す。それを3回繰り返すとやっと開けることができた。
中に入ると電気をつけて、荷物をテーブルの上に置く。そのままレジの奥に入り、アンプの電源をオンにしてBGMのプレイボタンを押す。軽快なイントロと共にエルヴィス・コステロの「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love and Understanding」が流れる。「平和や愛、理解しあうことについて語るのが、そんなにそんなにおかしいのか?」うん。コステロも怒ってる。
僕は心の中でそんなことを思い浮かべると、「よし、はじめよう」とスタッフに声をかけた。この日は、翌日から始まる「水縞POP-UP」の商品を並べるためにここに来たのだ。
さまざまな柄の紙をセットした「イロイロメモパッド」に、ゆるいイラストの表紙に洒落の効いた中のフォーマットが楽しい「大人のノート」、ミニレターセットなどの紙ものに、たくさんのスタンプ。透明樹脂のスタンプパーツと、アクリル台をセットして使う「自在ハンコ」は、パーツが24種類ある。そして、メインアイテムのコラボレーションのリフィルが3点。
「いっぱいあるなあ。どうやって並べようか」届いた商品を確認すると、その種類の多さに軽く動揺する。まずは、前日にお店のスタッフが用意してくれていたワイン箱や仕切りのついた木箱を動かしながら、並べ方を考える。「紙ものをこっちで、スタンプはここにしよう」とだいたいの場所を決めると、商品を置いていく。それでも「ここには並ばないから、こっちと入れ替えよう」とか、「これが入る箱がないかな」なんて言いながら、テトリスの凸凹を埋めていくように、試行錯誤を繰り返す。
すると、入り口からトントンとドアをノックする音が聞こえる。海外から来たお客さんが、休日であることを知らなくて訪れてくれたみたいだ。僕は、ドアの鍵を開けると、「すみません!今日はお休みなんです」と伝える。そうすると、お客さんも「そうなんだね。また来るよ」と言ってくれる。並べている間に、何人かそんなお客さんがいた。
最初は本当に全部置けるのかと思っていたのが、中盤からは方向性が見えてきて、「水縞」コーナーらしきものがだんだんと出来上がっていく。なんだか面倒な仕事をしているように書いてしまっているかもしれないけれど、僕はこの仕事は嫌いではない。というかむしろ好きだ。手を動かして、少しずつ形が出来上がっていくのは楽しいし、明日ここを訪れてくれるお客さんがどう思うかな、なんて想像するのも楽しい。それに、好きな音楽を聴きながら、誰もいない静かなトラベラーズファクトリーの空間を独占できる贅沢な時間でもある。
並べ終わると、外はすっかり暗くなっていた。あらためて「水縞」の商品たちが並ぶテーブルをしみじみと眺める。トラベラーズファクトリーに並ぶことで、まるで僕らの仲間となって、空間に新鮮さと共に華を添えてくれている。トラベラーズファクトリーのいつもとはちょっと違う一面が見えて楽しい。しばらく眺め、写真を何枚か撮ると、ファクトリーを出た。
木曜日。今度は朝のオープン前のトラベラーズファクトリーに向かった。予定の時間より少し早めに着いたので、中に入りPCを開いて仕事をしていると、石井さんと橋本さんもやって来た。この日は、トラベラーズファクトリーである案件のための撮影があった。
青い空から強い日差しが降り注ぎ、まさに撮影日和。さっそく、石井さんがモデルとなり、それを橋本が撮影する。石井さんと橋本は、トラベラーズファクトリーの立ち上げメンバーでもある。久しぶりに三人でワイワイガチャガチャしながら撮影をしていると、立ち上げの頃を思い出して、なんだか懐かしい気分になった。
三人とも忙しかったり、いろいろあったりして、この場所に来る頻度は以前と比べるとだいぶ減っている。だけど、やっぱりここは僕らの基地であり、僕らの思いの集大成みたいな場所だ。ここに来れば、心が躍るし、いろいろあるけれどがんばろうって思えるのだ。
しばらくすると、スタッフたちがやってきて開店準備が始まった。僕らは準備の邪魔にならないように、撮影を進め、オープンの時間になる前に終えた。最後に2階で軽く打ち合わせをして、1階に降りると、店内は世界各地から訪れてくれたお客さんでいっぱいになっていた。
そんなわけで、今日もトラベラーズファクトリーは各地で皆さまのお越しをお待ちしています。