あたらしいものにワクワクする
最近よく聴いているのがブルックリン出身のバンド、Dirty Projectorsの夏に出たばかりの新譜。アコースティック楽器にフォークを基調とする男女混成の牧歌的な雰囲気のコーラスというトラディショナルな編成ながら、フォークからR&B、プログレ、パンク、ポストロックまでの影響をしっかりと受け継ぎ、今しか奏でられないオリジナルな音を鳴らしているのです。
同時代に生まれている革新的なものに触れると、やっぱり嬉しくなります。ロックの原点は、時代の影響を受けながら、既成概念をひっくり返すようなあたらしい音を奏でること。そんな音とともに、リアルで美しい言葉による詩が歌われた時に、感動的な音楽が生まれます。時代を経るなかで残り続け既にスタンダードとなった音楽もいいですが、それらも生まれたときは革新的で新しい音楽だったのです。これからスタンダードになるのかどうかは歴史が判断するとして、やはり今この時代に生まれているあたらしいものにワクワクする感動は忘れたくないですね。
ワクワクと言えば、TRUCKのあたらしい本、「NEST」にも感動させてもらいました。どっしりとした海外の図鑑のような装丁、コントラストの強い味わい深い写真、英語と日本語のバイリンガルの構成など手に取るだけで、TRUCKのこの本に対する想いの深さと心意気を感じます。そして、内容は黄瀬・唐津夫妻がTRUCKを立ち上げて、今のショップとカフェを作り上げていくまでのことが詳細に彼らの言葉で書かれています。
本のページをめくると、TRUCKがTRUCKのスタンダードを作り上げていく行為は、自分達が信じることへの飽くなき追求と、それを遮ろうとする既成概念との戦いであることが分かります。だからこそ、この本に書かれた言葉はリアルで感動を与えてくれます。そして、ぼくらが前に進んでいくための勇気を与えてくれるのです。「TRUCK NEST」はトラベラーズファクトリーでも扱っています。