2012年9月12日

読書の秋です。まだ暑いですが・・・


 
トラベラーズファクトリーで閉店後に本を並べている時間が好きです。その本に書かれている物語を想像したり、思い出したりしながら、順番を考えて本を並べる。
 
ブローディガンが東京の旅を綴った詩集「東京日記」の隣に、アラーキー夫妻の東京での暮らしを綴った「東京日和」を置く。続いて永井荷風の「墨東奇譚」に、つげ義春の「無能の人」。どちらも東京が舞台の話。さらに、銀座百点に連載されていた向田邦子のエッセイ集「父の詫び状」に、御茶ノ水にある老舗ホテルの話「山の上ホテル物語」を置いてみる。そして、植草甚一スクラップブックの「ぼくの東京案内」に、片岡義男が東京を歩いて写した写真集「ここは東京」を並べる。
 
例えば、そんな風にガイドとしてはほとんど役に立たないけど、東京の良さが再発見できる本ばかりをそろえていく。そして、本のサイズや背表紙の色合い見ながら並び順を整えて、それがきれいに美しくまとまると、しみじみ棚を眺めて悦に入る。書棚に詰まったたくさんの本を眺めていると、それぞれの本の物語が共鳴し、ハーモニーを奏でていくのです。
 
良い本屋に入ると、美しく並んだ本が発する無言のハーモニーで胸がいっぱいになり、高揚した気分で本のタイトルを目で追ってしまいます。沼津にあるweekend booksもそんな本屋でした。店内に入ると思わず時間を忘れて、いつまでも本棚を眺めていたくなりました。

トラベラーズファクトリーでは、9月12日よりTRAVELER'S BOOKS 秋の読書月間イベントとしてweekend bookさんより送って頂いた古書が並びます。
 
「本を読むことは、旅をすることと、ちょっと似ている。実際に遠くに行けなくても、本を読むことで、時間や空間を自由に旅することができる。だから、読書って「心の旅」だと思う。」
 
店主の高松さんが、こんなコンセプトで選んでいただいた本は、心の奥に静かに優しく響く本ばかり。旅の本だけでなく、小説やエッセイ、写真集、絵本まで幅広く選んでくれました。届いた本を並べている時は、思わずページをめくったり、ずっと前に読んで感動したのを思い出したりして、至福のひとときでした。
 
また、伊豆仁田のカフェirodoriさんのお菓子も販売します。本を読みながら食べるのにちょうどよい美味しい焼き菓子です。さらに、本のイベントあわせてつくったTRAVELER'S BOOKSのライブラリーバッグも9月12日より販売。本を入れて歩くのにちょうど良い厚手のコットン製のバッグです。まだ暑い日が続きますが、読書の秋に向けてぜひ、お気に入りの1冊を探しに来てください。