2025年7月14日

A Melting Pot of TRAVELER'S notebook

 先週、会社の行事があって、トラベラーズカンパニーのアメリカのオンラインショップなどの運営を行っているスタッフがアメリカから日本に来ていて、ミーティングをしたり、お酒を飲んだりした。

 彼らはオンラインショップの運営だけでなく、現地でのイベント運営も担っていて、昨年11月に開催したロードトリップイベントも、会場探しから条件交渉、イベント準備まで彼らがコーディネートしてくれた。

 アメリカのオンラインショップ、TRAVELER'S COMPANY USAがオープンしたのは、トラベラーズファクトリー京都と同じ今から5年前になる。京都もそうだったんだけど、ちょうどコロナが始まった年でもある。アメリカでのコロナの被害は日本よりも厳しかったし、さらに海外の移動ができないせいでしばらく日本と行き来することもできず、当初はかなりのストレスを抱えながらの運営になったのは想像に難くない。ただ、ステイホームで家から出られない状況は、、オンラインショップとしては追い風になり、売上面では順調な滑り出しを迎えた。

 当初から、オンラインショップの運営だけでなく、トラベラーズノートのアメリカでの認知度を上げて、ファンを増やしていくことも目的としていて、コロナが落ち着いてくると、イベントの出展やパートナーショップの開拓など、活動の幅を広げていった。それに伴い、スタッフも少しずつ増えていった。

 スタッフは、日本人である代表を除くと、現地採用のスタッフになるんだけど、その出自や人種がさまざまなのがアメリカらしい。今回日本に来た主要メンバーの4人のうちアメリカ生まれは二人。他の二人は生まれたのは他の国で、今はアメリカには移住している。得意分野も性格も違ってそれぞれ個性的なんだけど、みんなトラベラーズノートを愛用していたことがきっかけでメンバーに加わったからか、どこかで共通した価値観があるし、明るくて、人柄もいい。久しぶりに彼らと会って話をして、あらためていいチームだなあと思った。

 ロードトリップのイベントでは、さまざまな人種が会場を訪れてくれて、みんながトラベラーズノートが好きという共通点で繋がっている姿を見て、嬉しくなったのを覚えている。トラベラーズノートは、旅人のためのノートだから、みんな旅が好き。だから、国籍や人種が異なる人たちと話をして、異なる国や文化の話をするのは楽しい。なによりトラベラーズノートという共通の道具があることで、国や人種が違っていてもお互いの理解もしやすく、すぐに仲間のようになれるのが嬉しい。

 アメリカが今のように経済的にも文化的にも世界の大国になったのは、メルティング・ポットと言われるように、多種多様な文化が混じり合い、溶け合い、新しいものが生まれた結果であると思っている。それゆえに、昨今よく言われる排外主義や○○ファーストなどという言葉を、僕は好きになれない。

 トラベラーズファクトリーでも、ここ数年は海外のお客さんが増えて、店内がまさにメルティング・ポットみたいになっていることが多い。仕事の帰りに、コーヒーとリフィルの追加を買い足しに立ち寄ってくれる近所の方や、帰省したついでに足を運んでくれる日本の方、そして、海外から長い旅をして訪れている方がいる。地元の人と旅人がほどよく入り混じって、そんな人たちの間にちょっとしたコミュニケーションが生まれるような空間でありたいと思っている。

 お客さんが見せてくれるトラベラーズノートは、国籍に関係なく多種多様のカスタマイズがされていたり、まったく手を加えていなかったり、丁寧に手入れがされて革がツヤツヤだったり、逆に傷だらけだったり、かっこよかったり、かわいかったり、ほんとうにさまざまで、みんな違う。それらのトラベラーズノートを並べたら、きっとメルティング・ポットで、そんな多種多様な姿こそが、トラベラーズノートの魅力でもあり、トラベラーズのカルチャーを作っていると思う。
 
 だいたい自分のトラベラーズノートだって、仕事の打ち合わせメモに、ふと思いついたアイデア、誰かが言った印象的な言葉、読みたい本や観たい映画のタイトル、さらにどこかで見つけたスタンプに落書きもいっぱい描いてあって、メルティング・ポットみたいなものだ。書く目的も心持ちもまったく違うんだけど、きっとどれも自分の中から生まれたものであり、自分を形作る糧のようなものだ。

 そんなふうに仕事もプライベートも、現実も妄想も自由に思うがままに書き込めるのがトラベラーズノートの魅力だと思う。使えば使うほどに、出会いが増えて興味の幅が広がり、自分の感性や思考が研ぎ澄まされていく。なんて大袈裟なことでなくても、楽しいことが詰まっている一冊のノートとともに毎日過ごせば、それだけで日々が楽しくなるでしょ。

 これからもトラベラーズノートは、メルティング・ポットでありたい。