2007年10月30日

TRAVELING PAPER コロンバインの絵葉書

香港にキャットストリートという骨董品街があります。観光客向けの店が多く、骨董品というよりガラクタ市という感じの駄物が多いのですが、その分気楽に見てまわることが出来ます。
 
香港 キャットストリート
 
その中のお店で、おもしろいポストカードを見つけました。狭い店の中、何十年も前の新聞やチラシ、ハガキ、請求書などが商品として積み重なって置かれていて、ホコリをかぶったそれらは、その時代からそこに置かれていたかのような佇まいです。
 
お店のおやじは、こちらが店の中を見ている間中ずっと店の軒先で将棋をしていて、値段を聞くと、面倒くさそうに今思いついたかのような価格を言ってきました。

基本的にやる気がないので、価格交渉のもあまり乗ってきませんが10枚でいくらで!という感じで言ったら、将棋に戻りたかったのかあっさりOKという返事をもらいました。
 
そのポストカード。消印を見ると1912年!1912年というと、日本は大正元年。アメリカではタイタニック号が沈没した年でもあります。あて先はアメリカのオハイオ州トレド。ジャック氏からハロルド氏に宛てたハガキです。鉛筆でなぐり書きされた文字を読んでいると下記のような内容が書かれています。
 
ポストカード
 
「あなたの便りから長い時間が経ってしまいました。すぐにでも返事をしたかったのですが、1日16時間も仕事していて返事ができませんでした。駅前の広場からこのカードを送ります。すぐ返事します」
 
ポストカード裏
 
そして、裏には、電話をするビジネスマンの写真と併せ「緊急の用件が、わたしをコロンバスに引き留めている。いつ出発できるか分かりません」という印刷。
 
勝手な想像ですが、ずっとハロルド氏からの依頼を気にかけていたジャック氏。駅でちょっと待ち時間が出来た合間に、キオスクのような店で、自分の今のシチュエーションにぴったりの絵葉書を見つけ、その場で、気にかけていたハロルド氏にハガキを書くことにした・・・。というような感じでしょうか?
  
また、そのハガキがどういった経緯で、アメリカのオハイオから香港の骨董品屋に渡って売られることになったのか?
 
さらに95年の時を経て、東京の私の手元にある不思議を思いながらハガキを眺めているといろいろな想像が膨らみます。