2010年11月 8日

大阪散策日記・中崎町篇


 
旅先では、街歩きが楽しい。特別な目的もなく、ぶらぶら街を散歩する。面白そうなお店を見つけたら覗いてみたり、地元の人でにぎわっている食堂でお腹を満たしたり、感じの良いカフェで一休みしたり。
 
先週行った大阪では、ゆっくり街を歩く時間を作ることができました。まずは、前々から行きたかった中崎町へ。ここは、大阪の中心、大阪駅、梅田駅の近くにありながら、戦前から残っている長屋が連なる路地が広がっているエリアです。
 
黒光りする木造の長屋、ところどころに亀裂が入ったモルタルや錆びたトタンの壁、その前の路地に置かれたたくさんの植木鉢。昭和初期に建てられたと思われる住居は、古く朽ち果てていても、独特の色気があります。
 
空を見上げると、繁華街に建ち並ぶ大きなビルが見えて、そのエリアだけぽっかりと時代が止まっているかのよう。この街にはその雰囲気に魅せられて集まった人達によって長屋をリノベーションした雑貨屋、古本屋、カフェやレストランなどがたくさん集まっています。それが、また街をより魅力的にしています。

その中のひとつ「うてな喫茶店」に立ち寄りました。長屋を改築した店内は、静かにジャズが流れ黒ずんだ柱や漆喰の壁にガラス戸からの光がやさしく差し込んでいます。棚にぎっしり並んだ古い本の中から気になった本を1冊手に取り、ゆっくりそれを読みながら、コーヒーを飲む。うてな喫茶店は、古き良き正しい喫茶店を感じさせてくれるステキなカフェでした。コーヒーを飲み終わり、また街を歩きました。
 
狭い路地に思い付くまま入り込んで行き、Y字路の分かれ道を適当に進んで行く。だんだん方向感覚を失い、どこに向かって歩いているのか分からなくなってきます。しかし、その先で思いがけず面白いお店や、不思議な建物を発見できる。まさに、散歩の醍醐味をたっぷり味わうことができる街でした。