BEYOND the BORDER
理由はよく分からないんだけど、なんとなく自然に自分の中に作られていくルールやこだわりみたいなものがあったりします。例えば、ぼくの場合は、1日の最初のタバコは朝食後にコーヒーを飲んでから、とか、生のトマトは食べないとか、ビジネス書は読まないとか、美容院でなく床屋に行くとか、タートルネックのセーターや七分袖のシャツは着ないとか、他にもいろいろあるけど、大抵、美学と言うにはほど遠い単なる食わず嫌いやつまらないこだわりであることが多く、あるきっかけで、そのルールを飛び越えてみることで目の前が広がってくることがよくあります。
例えば、大学生の時、なんとなく漂うおしゃれなイメージや、『1973年のピンボール』とか『ノルウェイの森』などのタイトルの付け方にあざとさのようなものを感じ、村上春樹氏の本を手に取ることはなかったんだけど、ゼミの授業で読まなければならなくなって、はじめて彼の小説を読んでみたら面白くて、それまでの作品をすべて読むようになったし、ほんとうにどうでもいいことなんだけど、子供の頃からずっとヨーグルトが嫌いだったのに、アルバイト先で商品のヨーグルトのパッケージを傷付けてしまって、自分で買うことになって、捨てるのももったいないので食べてみたら、意外と美味しいことに気付き、それ以降日常的に食べるようになったし、飛び越えてみると、以前思っていたこだわりはあっけなくなくなってしまいます。
そんなぼくのどうでもいいこだわりのひとつに、ストライプ(縦縞)のシャツは着るんだけどボーダー(横縞)のシャツは着ないということがあったのですが、そのルールを飛び越えてみることにしました。
そのきっかけは、トラベラーズファクトリーで受注会を開催させていただいたG.F.G.S.の代表小柳さん。彼が手掛けるのは、新潟加茂市で周辺の小さな工場とともに作る純国産ボーダーシャツで、ボーダーの幅や色の組み合わせを自由にカスタマイズできるという仕組みとともに、小柳さんの人柄やものづくりの考え方にすっかり魅せられてしまい、今まで着ようと思ったことがなかったボーダーシャツを着てみたくなりました。
出来上がるまで3週間くらいかかるのですが、今では袖を通すのが楽しみ。そうやって、また小さな殻を破ることができたことが嬉しくて、そんな経験の積み重ねこそが年をとっていくことの楽しみなのかもしれないですね。
先週に続き、今週2月13日〜16日には、ぼくらに気持ちの良い上質なシャツを着る喜びを教えてくれたAIR ROOM PRODUCTSさんとシンプルなのにオリジナルならしさを感じられる手作りのオーダーメイドのバッグを持つ喜びを教えてくれたKO'DA STYLEさんによるシャツとバッグの展示販売イベントを開催します。それぞれ新作も持って来ていただきますので、ぜひ、遊びにきてください!
そして、話変わって、2月12日にトラベラーズノートと仲間たちのオフィシャルサイトにて、3月発売の新しい商品の情報をアップする予定です。こちらもぜひ楽しみにしてください。