旅の記憶をノートに
海外への旅がご無沙汰になって久しい。一番最後に海外へ行ったのは、もう2年近く前の2019年10月のことで、行き先は中国の成都だった。
成都は、かつては三国志の舞台のひとつで、劉備が治めていた蜀の都だったこともあり、古都ならではの歴史を感じる街並みに、上海や北京などの大都会とは違ってゆっくり流れる時間が魅力だった。さらに四川料理の本場ということで、唐辛子と山椒をたっぷり使った辛くて痺れる食べ物にもすっかりはまり、短い滞在だったけど、充実した時間を過ごすことができた。
旅の目的は、その翌年の春に開催を予定していた成都でのイベントのための下見と打ち合わせだった。会場の候補地を見て、現地の方と打ち合わせをして、具体的な内容を詰めていったのだけど、その後、ご存知の通り新型コロナの感染が世界中に広がっていくことでイベントどころではなくなり、予定は流れてしまった。
もちろん成都を旅していた時には、そんなことになるなんて想像していなかったから、たくさんの方に喜んでもらえるイベントにすべく、トラベラーズノートを販売してくれているお店やカフェのオーナー、ホテルを運営する方々とお互いどんなことができそうかと話をした。
成都には上海や北京ではあまり見ることができない運営者のパーソナルな匂いを感じる小規模のお店やカフェがあることも魅力のひとつだった。みんな目を輝かせて、何か楽しいことができないか真剣に考え、話してくれたのが嬉しかった。僕らは、半年後にイベントのために再訪するつもりだったので、彼らと再会を約束して別れた。でも、いつになったらその約束を果たせるのかまったく分からないような状況になってしまった。
そんな中、トラベラーズの中国担当営業より、規模を縮小して彼ら独自で成都でのイベントを開催することになったとの報告があった。それでいくつかのリクエストとあわせて、僕や橋本が使っているトラベラーズノートを会場に展示したいと話があり送ることになった。もともと計画していたタイミングからは1年以上経っているし、成都に行ってからは2年近く経っている。あれから世の中の状況はすっかり変わってしまって、成都に行ったのはずいぶん昔のような気もする。だけど成都は一番最後に旅をした海外の街でもある。せっかくなので、2年前の成都の旅の思い出をトラベラーズノートに描き、それを展示用に中国に送ってもらうことにした。
旅の写真を見返しながらノートに向かっていると、カメラのファインダーに映るピンボケの風景がレンズを絞りこむことでだんだんクリアになっていくように、旅の記憶が鮮明によみがえってきた。僕は近所にある行きつけのカフェのテーブルで、成都の旅を描くことにしばらく没頭した。
「このノートは、はるばる成都に旅立っていき、成都の人たちの目に触れるんだな」描き終わって冷めたコーヒーを飲みながら、そんなことを考えていると、あの土地で出会った人たちに、四川料理の痺れるような味、朝のお茶を飲んだ公園の心地よい空気が懐かしく浮かんできた。「成都のみなさんによろしく」心でそんな言葉を呟きながらノートを閉じた。
海外への旅をするにはもう少し時間が必要だと思うけど、かつての旅を思い出しながらノートに綴ることで、ひとときの旅気分に浸ることができました。皆様もぜひやってみてください。
話は変わりますが、海外への旅が難しい中、トラベラーズファクトリーエアポートは、もう1年以上休業が続いています。だけど、前にも書いたようにまたいつかこの場所に以前のような賑わいが戻り、安心して海外への旅ができる日が必ずやってくるはずだと信じています。その日が来るまでトラベラーズファクトリーエアポートを存続させるべく、また同時に、皆様に少しでも成田空港からはじまる旅気分を感じてほしいとの思いで、エアポートの限定商品を期間限定でトラベラーズファクトリーオンラインショップで販売することにしました。
発売前には店内の様子やエアポートエディションのことをお話する動画をインスタ等でアップします。海外への旅の思い出をエアポートエディションのトラベラーズノートに綴ることで、旅気分はさらに盛り上がるはずです。また、いつかまた海外へ旅立つ機会がやってくる時のために、行きたい旅の計画を綴るのも良し。この機会にぜひ!