外出禁止令
先週のこと。月曜日の朝、目が覚めるとなんだか少し熱っぽい。体温計で測ると37度5分だった。特別辛かったわけではないけれど、数日前にコロナが再流行しているというニュースを見たところでもあったので、朝の受付時間と合わせて近所の病院に行ってみることにした。
病院の入り口には、「発熱の方はこちらのインターフォンを押してください」との張り紙がある。ボタンを押して「ちょっと熱があるみたいなんですけど」と言うと、裏口に建てられた小さなプレハブの小部屋に案内された。中に入るとすぐに検査をしてくれて、待つこと5分。「陽性ですね」と結果を伝えてくれた。さらにお医者さんは「体調が良くなっても木曜日までは会社には行かないようにしてください」と言った。コロナが始まってから4年。検査体制も進化しているようで、思った以上にシステマチックかつスピーディーに検査は終わった。
薬をもらって家に帰ると、「コロナ陽性になったので、しばらく在宅になります」と会社の仲間にメールを送った。ぼーっとした頭で、とりあえず急ぎの仕事をいくつか片付けると、少し横になり眠った。でも3時ごろに目が覚めると、意外とすっきりして、熱も37度を少し下回るまで下がった。
翌日の午後になると、完全に熱も下がって、体調も普段通りに回復したんだけど、病院の指示に従って家で仕事をした。先週のブログにも書いたように、ちょうどトラベラーズタイムズの制作が進行中だったので、逆に集中して原稿に向かうことができた。
在宅期間中は、毎日電話でデザイナーとレイアウトを確認して、原稿を送って、またレイアウトを確認し、原稿を送るのを繰り返しながら共同作業で誌面を作り上げていった。それはメロディーと歌詞を作り込み、そこにドラムとベースのリズムが加わり、さらにギターソロやコーラスを重ねるように、だんだんと曲ができあがっていくみたいで楽しい。先月末に取材で訪れたある場所のレポートがいい感じに仕上がると、早速そこのオーナーにメールを送り、添付したPDFの誌面の確認を依頼した。
そんなわけで、4年目にして初めてのコロナ陽性は、幸いたいして苦しむこともなく穏やかに過ぎていった(あくまでも病院で陽性と診断を受けたのが始めてで、これまでも陽性になっていたのかもしれないけど)。将来、19号のトラベラーズタイムズを見ると、このコロナ感染のことを思い出すのかもしれない。何年かすると記憶も捏造されて、コロナ感染で熱にうなされ、死にそうになりながら作ったんだよ、なんて言ってるかもしれない。まあ高熱は嘘だけど、少ない脳みそをこねくり回し、うんうん唸りながら、必死の思いでやっているのは嘘じゃない。その分、在宅期間もあっという間に終わったような気がした。
金曜日、外出禁止令が解かれると、打ち合わせがあったのでトラベラーズファクトリー中目黒へ。久しぶりの灼熱の太陽が熱い。打ち合わせが終わると、やっとBLACKWINGのコラボ鉛筆とポイントガードを購入することができた。サンプルを使って実際に書いたこともあったのだけど、やっぱり自分のものとして使えるのは嬉しい。
早速鉛筆を削って、ポイントガードを差し込み、自分のトラベラーズノートのゴムに留めてみた。ブラスペンもいいけど、それよりも細くて長いこの鉛筆もトラベラーズノートのレギュラーサイズによく似合う。短くなったらパスポートサイズ用の鉛筆として使うのもいいかもしれないな。
さらさらの書き味が気持ちよくて、それだけでちょっとワクワクして何かを描いてみたくなった。なんとなくBLACKWINGの鉛筆をゴムに留めたトラベラーズノートを描いてみた。うまく描けたかどうかは別にしても、楽しく描けた。この鉛筆を手にしてくれた方が、僕と同じようなことを思ってもらえたら嬉しい。
ふと、メールをチェックしてみると、例のタイムズのPDFを送った取材先のオーナーから返事が来ていた。早速メールを開いてみると、「最高の記事を作っていただき感無量です。大学生の自分に送りつけてやりたいです」とあった。
実は彼は学生時代からのトラベラーズノートのユーザーで、そのことも今回取材をさせてもらった理由のひとつでもあった。僕らにしても、馴染みの場所であり、憧れの場所でもあったその場所を取材してもらえたことで感無量だった。思わず嬉しくなって、「ありがとうございます!」と返事をした。もう僕はそれだけで、今回のトラベラーズタイムズがうまくいくのを確信した。
そういえば、BLACKWINGとのコラボレーションは、アメリカのBLACKWINGオンラインショップでも好調だったようで、発売直後に、「すばらしいプロジェクトになったよ。ほんとうにありがとう!」と彼らからメールが届いた。いろいろあるけれど、こういう言葉をもらえるから、また頑張ろうって思えるんだよな。
そんなわけで、暑い日が続きますし、コロナもかなり流行っているようです。皆様も健康第一でお過ごしください。