2009年6月15日

Coyote 植村直己が向かった旅の先


 
雑誌Coyoteの最新号は、植村直己特集。彼がずっと夢見、果たすことが出来なかったのが、南極単独横断。その夢の第一歩として、アルゼンチン南極基地へ取材に行っているのですが、その時の日記が掲載されています。
 
植村直己氏がマッキンリーで消息を断ったのは、1984年、私が15歳の時でした。そのニュースで、この冒険家のことを詳しく知り、その直後に「青春を山に賭けて」を読みました。氷河をこの目で見ようと、大学卒業後にわずか110ドルを手に世界に旅立ち、冒険を求めて、ひょうひょうと世界各地を放浪していく。そんな姿を描いているこの本は、旅に憧れる多感な高校生の心を振るわせるのに充分でした。
 
その植村氏が、五大陸の最高峰登頂後ずっと目標にしていたのが、南極横断でした。南極を最後の夢と位置づけ、北極圏一万二千キロも北極点グリーンランド単独行も、そのための準備でした。
 
Coyoteに掲載されている日記は、南極大陸犬橇単独横断に向けて、その偵察のためにアルゼンチン軍の輸送船に同行し、実際に南極大陸の地に足を踏み入れた時の様子を記しています。そこに書かれている言葉は、南極に来た喜びと冒険への決意にあふれています。夢を追いかけて、その夢に向かって実行している人の言葉は、熱く勇気を与えてくれます。
 
「生まれて初めてみる南極大陸だ。いま俺はやってきた、遂にやってきた。神は私に南極の道を開けてくれたのだ。<中略>マッキンリー登頂以来、この南極に賭けてきたのだ。何一つ疑う心なくして」
 
「わずか一ヶ月たらずの南極旅であったが、今終わらんとしている。今回の南極偵察で私の進めている南極横断が可能であるということをこの体で肌で感じとった」
 
紙面いっぱいに細かい文字で丁寧に書かれている日記の写真を見ることが出来ます。単独行にこだわった植村氏にとって、日記や手紙を書くことは、自分、そして見えない他者と向き合う大事な時間だったのだと思います。
 
植村直己氏の特集とあわせて、今回のCoyoteにはトラベラーズノートが掲載されています。作家、謝孝浩氏が旅でノートを書くことについて語っていますが、そこに実際に氏によって実際にトラベラーズノートに描かれた内容の写真も載っています。こちらも、もちろん要チェック!
 
 

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