多摩川な人々
トラベラーズプレスでお世話になった写真家キッチンミノル氏の個展に行って来ました。タイトルは「多摩川な人々」。氏が夕暮れ時の多摩川を歩き、そこで出会った見知らぬ人々に声をかけて撮り続けた写真が展示されています。
学校帰りの高校生、散歩をしている親子、作業中の警備員、釣りや野球をする人、仕事中のサラリーマンなど、さまざまな人達が、気をつけをして斜め上を向く独特のポーズをとって写されています。夕暮れ時の河原の穏やかでどこか寂しげな風景。一風変わったポーズが際立たせる人柄がにじみ出た味わい深い表情。
優れた写真は、今まで気付かなかった人やモノを見る視点を教えてくれます。ここに写っている人達は、どこにでもいそうで、誰もがそうであるように、そこにしかいない唯一無二の存在。みんなそれぞれ希望と絶望を
抱えながら、前を向いて生きている。彼らのストーリーを想像してみると、温かい気持ちになったり、ちょっと切なくなったりします。そして最後には、みんな素敵で愛おしく思えてしまうのです。
そんなことを感じさせてくれるのは、キッチンミノル氏の視点が、温かく真っすぐで優しさに満ちているからだと思います。今回の個展にあわせて、この「多摩川な人々」が写真集として出版されています。会場で購入
できますが、7月7日の七夕には書店でも発売されます。素敵な写真集ですので、ぜひ見つけたらお手にとってみてください。
キッチミノル個展「多摩川な人々」
写真集「多摩川な人々」