2010年10月20日

1989年


 
"1989年、この年、自粛ムードのなか年号が昭和から平成に変わった。ドイツでは長年東西を分けていたベルリンの壁が崩壊した。
 
アメリカではニルヴァーナが、イギリスではストーンローゼズが、それぞれデビューアルバムを発表し、後の音楽シーンやユースカルチャーに大きな影響を与えるための一歩を踏み出した。日本では深夜のテレビ番組、イカすバンド天国が始まり、数々のアマチュアバンドをメジャー化させていった。
 
大学生だった僕らは、授業にはあまり行かず、薄暗いスタジオにこもってバンド仲間と誰に聴いてもらうあてもない青臭い歌を作っていた。陽のあたる場所を歩く学生たちは、ユーロビートとテニスと合コンに夢中で間もなく終わるバブルの末期を謳歌していた。
 
押し寄せてくる閉塞感と憂鬱な気分を振り払うため、なぜか僕は、突然インドを旅することを思い立った。"
 
一昨日書いたの村上龍氏の「69」のオマージュとして、その20年後、1989年のことを自分自身の記憶とともに書いてみました。頭に浮かんだことを実際に書き留めてみると、その時代の空気感が蘇ってきます。
 
あの時代は今より良かったとか、またあの頃に戻りたいなんて思わないけど、あの時の自分が今の自分を作っているんだなとは思います。