日常ハーフディトリップ
所用があり浅草に行ってきました。次の目的地に向かうため、地下鉄の入り口を進むと、どこか懐かしい空気が漂っていることに気付きました。配線やパイプがむき出しになった天井、薄暗い照明、所々シャッターが閉まったお店が並ぶ通路、うっすら漂うスパイシーな香り。かつて訪れた異国のどこかにいるような気分になりました。
でも、どこだろうか?今までの旅先の記憶を呼び寄せて、頭のなかでイメージしてみました。いくつかの場所が浮かんでは消え、ぴったりとはまったのは、香港の重慶大厦。香港のメインストリート、九龍のネイザンロード沿いにあり、安宿やインド料理店が密集している古いビルです。映画「恋する惑星」や沢木耕太郎の「深夜特急」の舞台になった場所。思いがけず日常の生活のなかで、旅先の風景に迷い込んだような気分になり、胸が高鳴りました。
浅草ではその日の朝、少し時間があったので、ファーストフード店でコーヒーを飲んだのですが店内では、地元の方と思わしきご老人が何人もコーヒーを飲んでいて、顔なじみ同士でお話をしている姿を見ることができました。そんな風景もまた、香港の朝の飲茶店や茶餐庁を思い出させてくれます。
浅草での数時間で、ハーフディトリップ気分を味わう事ができました。