オフセット印刷は、ふつう四色印刷で、CMYK、シアン(青)、マゼンタ(ピンク)、イエロー、黒を小さな点で掛け合わせて無限の色を再現します。カラー写真やグラデーションなどはCMYKでないと表現することができません。一方、CMYKの掛け合わせではなく、インキを調合して特別に色を作って印刷する方法を特色印刷と言います。
　
例えば、トラベラーズノートの2012ダイアリーの中のグレーと赤茶の２色は、掛け合わせではなく特色で印刷しています。掛け合わせは、点の集合なので罫線の細いラインがクリアに出なかったりするので、ノートの中紙や手帳は特色で刷られることが多いです。
　
今回の新商品のロールシールでこだわったのは、この特色印刷。特色だと表現できる色数や形に限りがあるので、デザインする際にバラエティー感が出しにくかったり、別の柄と一緒に同じ版で作ってしまう"付け合わせ"もできないので版代が余計にかかってしまうなどデメリットも多いのですが、上の写真のような特色で刷られた古いマッチラベルや切手の味わいを再現しようとあえて特色でいくことにしました。
　
また、版もオフセットではなくハンコのような仕組みの凸版で印刷しました。特色は、ベタで色を刷ることができるので色がはっきりと出ます。また、カスレや滲み、ズレなどが味に見えるのも、特色ならでは。印刷の立ち合いの時には、ちょっとズラしてとか、微妙にカスレた感じでなどのリクエストをして、いつもとは逆のことを言われるな～なんて言われながら、独特の味を表現してもらいました。また、ロールシールは印刷以外にも、 切手の端のリアルなギザギザやチケットのミシン目、さらに箱から出てくる仕組みなど、さまざまな細かいこだわりが満載です。
　
発売後、手にして頂けたらぜひ、その印刷の風合いや細かいところまでじっくり味わっていただければ嬉しいです。