ブリックレーンでベーグルを
ロンドンで宿をとった場所は、イーストエンドと呼ばれるエリア。イーストエンドは、行政や商業の中心から離れ、かつては貧民層や移民が住むエリアでしたが、近年、安い家賃や点在する工場・倉庫跡の広いスペースを求めて若いアーティストが集まっているそうです。そんな新しいカルチャーが生まれる場所には、歩いて楽しい路地がたくさんあります。ホテルに着いた時間は、既に夜7時を過ぎていましたが、この季節のロンドンはまだ明るい。早速、街へ出ました。
まずは、ブリックレーンへ。その名の通りレンガ造りの古い味のある建物が軒を連ね、そこかしこに描かれたグラフィティが楽しげで自由な雰囲気を演出しています。
歩いていると、最先端のオーガニックレストランや古くからあるパブに混ざり、バングラデッシュ移民によるカレー屋やトルコ人によるケバブ屋、ローカル向け日本食レストランなど、さまざまなスタイルのレストランを見つけることができます。それは同時に、この街がたくさんの移民や労働者を受け入れてきたことを教えてくれます。旅人にとっては、飾らずふらりと入れそうな食べ物屋さんがたくさんあるのが嬉しい。
かつてロンドンに住んでいたデザイナーKくんがおすすめしてくれたベーグル屋、ブリックレーンベーカリーを見つけると、さっそく中に入ってみました。何人か並んでいるお客さんの後ろで待ちながら、カウンターの奥を覗き込んでみると、ベーグルが焼ける香ばしい匂いとともに、パッドに置かれた大きな肉の塊が見えました。これがこの店の名物、HOT SALT BEEF。付け合わせのピクルスとともにオーダーしてみました。
すると、びっくりするほど厚くカットした肉を数枚ベーグルに挟んで差し出してくれました。もっちりとしたベーグルに塩気がきいた肉厚で柔らかいビーフ、たっぷりかかったマスタードがアクセントになってとっても美味しい。ボリュームたっぷりなのにあっという間に食べ終えてしまいました。
さて、ブリックレーンを歩いているうちにやっと空が薄暗くなってきました。パブに寄り、念願のフィッシュ&チップスでお腹を満たすと、宿に帰ることにしました。来た時に通った道をまた戻るだけなのに、地図を見ないで歩いていると、この街のことをちょっとだけ分かったような気分。今まで映像や写真でしか見たことのない憧れの街がぐっと身近に感じられて、なんだか嬉しくなってきました。