I Love Star Ferry.
1年と半年ぶりに香港へ行ってきました。
ここ数年香港は、中国からの買い物客が増えているため景気が良いようで、訪れる度に新しいビルが建ち、その中には高級時計や宝飾品を扱うショッピングモールが出来ています。妖しげな雰囲気が魅力だったあの重慶大厦も外装がリニューアルされ、夜にはきらびやかなイルミネーションが光るビルに様変わりしてしまっていました。
しかし、一歩裏道に入ると、今にも崩れそうなビルや、軒を連ねる屋台などを見ることができ、新しく変わっていくものと、頑に変わらずに残っていくものが混ざり合う香港の魅力は健在です。
香港の変わらない魅力といえばスターフェリー。沢木耕太郎氏の「深夜特急」でもその魅力が綴られていますが、海風を浴びながらの航海や、両岸に広がる100万ドルの夜景など、沢木氏が旅をした1970年代と変わらない船旅を今でも味わうことができます。変わったのは当時は10セントだった運賃が今は2香港ドルになったことくらいでしょうか。それでも、たった22円で最高の船旅を楽しむことができるのです。
1950年代〜60年代に就航した船が今でも現役で運行しているので、その船自体を見るのも楽しみ。独特な木のベンチや麻のロープ、Silver Star、Shining Starなど、すべてにStarが付けられた船名を記した真鍮のプレートは、経年変化ですっかり黒ずんでいます。また、船の脇にいくつも取り付けられている白い浮き輪はスターフェリーの象徴ですが、緊急用の浮き輪は、今の法律ではオレンジなどの目立つ色でしか作れてなくなっていて、この白い浮き輪もまた歴史的遺産となっているそうです。
今では海を渡るのは、地下鉄の方が便利ではあるのですが、少し時間を無駄にしてでも、やはりスターフェリーに乗ってしまいます。そして、船に乗って心地よい海風を浴びながら香港にやってきた喜びをしみじみ味わうのです。