よくインドを訪れるものは、大好きになってその後何度も訪れることになる人と、逆に２度と行きたくなくなる人の２種類に別れると言います。
　
初めての海外への旅がインドであった私は、そのどちらでもなく、インドに行くことによって、旅に取り憑かれて、その後何度も旅に出ることになりますが、インドへはそれ以来訪れていません。でも、それはインドが嫌いだからではなく、インドは数日で気軽に旅するような場所ではなく、がっぷりと四つに組んでじっくりと旅したい場所で、その機会にまだ恵まれていないだけなのです。なので、いつかまた訪れてみたい場所ではあります。
　
イチャソさんがインドから持ってきてくれた木版スタンプを手に入れたのが、ニューデリーのパハールガンジだと聞いて、ふと、あの混沌とした風景を思い出しました。
　
インドに着き、空港から散々な思いでこの場所にやってきて、歩いたとき衝撃は今でも忘れることができません。そこは、自分が今まで見て来たどんな場所とも異なる世界でした。鳴り響くインド映画音楽、香辛料とお香と道を我が物顔でのし歩く牛の糞尿の匂いが入り交じった匂い。違法両替にマリファナなどをしつこく誘う怪しい物売り。ホコリっぽい路地にいっぱいに並ぶ見慣れない衣料品や食料品、土産物を売るせまい店。その前には、サモサを揚げていたり、チャイをいれている屋台がいくつもある。
　
それらをすり抜けるように走るリクシャの運転手が、どこに行くんだ？と何度も声をかけてくる。さらに、小さな子供や赤ちゃんを抱いた女性の乞食が哀れみを乞うような表情で、手を差し出してくる。適当に食堂に入り、なんだかとんでもないところに来てしまった不安と不思議に胸の奥からわいてくる高揚感に包まれながら、コカコラーのインド版コピー、カンパ・コーラを飲んで乾いた喉を潤す。それから、ぼくらは一日の間で何度も本気で腹を立てたり、泣いたり、笑ったり、感動したりしながら、旅を続けて、旅に取り憑かれていきました。
　
そんなインドからやってきたイチャソさんの展示は、トラベラーズファクトリーで11月19日まで開催中です。こちらでは、イチャソさんの視点を通した美しいインドもご覧いただけます。インド製木版やシールなどのインドグッズも好評販売中です。
　
イチャソさんも参加してくれた先日のカスタマイズイベントでは、たくさんの素敵なインド版のリフィルが誕生していました。ご参加いただいた方々ありがとうございます！その一部をこちらで紹介させていただきます。