2013年2月21日

片思いが実る時

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男女が恋愛に発展する時の典型的なパターンは、学校や仕事、友人などを通じて知り合った2人が、お互いのことを少しずつ知っていくうちに、この人なんだかいいなあと思う気持ちと、同時に、もしかしたら自分に気があるのかなあという予感が重なっていくことで発展することが多いと思います。
 
自分の数少ない恋愛経験のことを思い出してもすべてこのパターンです。まあ、その予感は勘違いであることも多いのですが。逆にほとんど話をしたことがないような人に対する片思いは、やっぱり片思いで終ることが多くて、それを恋愛に発展させるにはかなりのパワーや運が必要です。もちろん自分にはそんな経験はありません。
 
来月、トラベラーズノートパスポートサイズでコラボレーションをするスターフェリーに対するぼくらの思いは、恋愛に例えるとまさに後者の典型的な片思いでした。初めて乗ったのは、もう20年以上前。その時からすっかり魅力に取り憑かれて、仕事で香港に行くようになると、必ずフェリーに乗って、キラキラ光る夜景を眺めながら、気持ち良い海風を浴びていました。なので、コラボレーションというアイデアが生まれた時、スターフェリーはまっさきにその候補にあがりました。でも、相手はきっとトラベラーズノートのことなんて知らないだろうし、文化も業界も違う異国の遠い存在。この片想いの恋を実らせるにはかなり高いハードルを越える必要がありそうでした。
 
そのタイミングで、たまたま出張で香港から日本に来ていたパトリック氏と会う機会がありました。彼はステーショナリーのバイヤーであり、同時にトラベラーズノートのプロフェッショナルユーザーとして、ホームページにも登場してくれている友人でもあります。
 
早速スターフェリーのこと話してみると、彼自身もこのコラボに興味を持ってくれて、香港に戻ったら調べてみるよと言ってくれました。そんな彼の言葉に淡い期待を抱きながらも、実現できるかどうかは、まったくの未知数。でも、トラベラーズノートを発売当初から使い、ぼくら作り手の想いや今回のコラボの意義も深く理解してくれている彼なら、どうにかなるのかもしれないと思うようになりました。
 
そして約1ヶ月後、彼からスターフェリーとミーティングができるようになったというメールが届きました。それからは、とんとん拍子に事が進んで行き、コラボレーションが実現することになりました。慣れない英語でこちらの想いを伝えたり、分厚い英文の契約書を頭を抱えながら読み解いていったりと大変なこともありましたが、20年前にはじめてスターフェリーに乗った時のことを思うと、未だにちょっと信じられないような気分になったりします。
 
トラベラーズノートには、人と人を繋げて、自分の世界を広げていく不思議な力があります。今までも、そうやって新しい出会いや世界に巡り会って来ました。今回は、生まれた当初からの仲間であるパトリック氏が、ぼくらの一方的な片思いの相手と結びつけてくれたのです。

100年以上の歴史を持つ、世界的な観光資源でありながら、日本のノートブランドの声に耳を傾け、そして、その想いを共有してくれたスターフェリー。今回のプロダクトを作るにあたり、ご自身のヴィンテージコレクションの使用を快諾してくれたアラン・S・K・チェン氏。そして何より、ぼくらの夢に共感してくれて、その実現のために自ら楽しんで共に仕事を成し遂げてくれたパトリック氏。さらに、そのあたらしいプロダクトを心待ちにしてくれているたくさんの方々。皆さんのおかげで、トラベラーズノートの世界がまた大きく広がりました。ほんとうに感謝です。
 
 
 

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