Farewell Summer
日付が変わって今日は8月31日。8月31日といえば思い出すのは、小学生の頃の夏休みが終わってしまう憂鬱な気分。宿題は全部終わってないから、始業日に提出しなければならないものを焦りながら片付ける。自由研究や読書感想文はまじめにやったけど、算数ドリルはズルをして答えを丸写し。いよいよ夜になると、普段日曜日にサザエさんを見るときの何十倍もの喪失感に襲われた。夏休みがはじまったころは、それが永遠に続くような気分でいたのに、今度は永遠にやってこないかのような冬休みを待たなければならなかった。
夏の始まりに高揚感を感じさせた蚊取り線香の香りは、秋が近づくと寂しさを感じさせる。プールの消毒液や花火が燃えた後の煙の匂い、ラジオ体操の朝の少しひんやりした空気、スイカの瑞々しい味、高校野球のサイレンの音、セミの声、照り付ける太陽の日差し、赤い夕焼け、みんな遠い記憶のなかに過ぎ去ってしまう。8月31日という日付とあいまって、最近の涼しさが夏の終焉を宣告しているようで、なんだかメランコリックな空気が流れていく。
さて、46回目の夏は、新潟の加茂へ行ったり、京都と沼津へキャラバンの旅をしたり、庄野さんが淹れてくれたアイスコーヒーを飲んだり、山田稔明さんのライブを京都と中目黒で聴いたり、トラベラーズバイクに乗って仙台へ行ったり、ブライアン・ウィルソンの映画を見たりしてそれなりに楽しく過ごすことができました。
小学生の頃の夏と、46歳の夏は長い時間軸の中でずっと繋がっていて、だから夏は終わったようで終わっていないような気もする。1年経てば規則正しくまた夏がやってくる。そんなことを想像すると、季節が移ろう時に感じる寂しさも薄らいでいく。
そして、まもなく46回目の秋がやってくる。ひとつの季節が終って、あたらしい季節を迎える。なんだかトラベラーズノートのリフィルを新しいものに差し替えるみたいだな。