2015年9月24日

Rock 'N' Roll High School

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もういい歳なので人前では見せないけど、音楽を聴いたり、本を読んだり、映画を見たりしていて、本当に感動をした時に、自然に涙が出てくることがある。でも作品が死や失恋などの悲劇で、その悲しみによって出てくる涙とはちょっと違う。例えば、歌詞が理解できない外国の歌で、明るい旋律なのに、聴いているうちに心にぐっと来て胸が高鳴り、自然に涙が流れてくることがある。
 
美しい音楽は、たとえ激しいリズムを刻んていても、悲しみや切なさを感じさせる。本当の美しさは、あざとさや恥ずかしさ、虚栄心などを超えた無垢な存在で、本気で向かい合うと僕らの心も剥き出しになってしまう。そして無防備で敏感になった心が揺さぶられて涙が流れるのかもしれない。メッキがはがれた無垢な魂は、傷が付きやすく錆びやすいけど、磨けば光るし、使い続ければ美しく深みを増していく。
 
言葉にするのは恥ずかしいけど、僕は最近やっぱり一番大事なのは愛だなあと思っている。音楽でも映画でも素晴らしい作品は、作り手の愛がたっぷり込められているのを感じるし、受け手も愛を持って、その作品に触れ合うことでより深い感動を得ることができる。
 
凡人である僕らは、つい安直に効率的で打算的な考え方をしたり、自尊心が邪魔をしたりするけど、そんなことを忘れさせてくれるのも愛で、愛があるものには、そんなことを考えることもなく無心で本気で向かい合うことができるような気がする。さらに、恋愛が愛し愛されることで深まるように、愛は相互に影響を与えあい、より大きな感動へと向かう磁力を生む。好きなことや得意なことを仕事にすることで、大きな効果を生むことはあるけど、それよりも、その対象となるコトやモノに愛を感じることができるができるかどうかの方がもっと大切なのかもしれない。
 
長年聴いていて、こんなことは初めてなんだけど、最近ラモーンズのアルバムを何枚も聴いていたら、不覚にも涙が出てきた。歌詞なんてほとんど聞き取れないし、きっとそこに文学的な深みなんてないんだろうけど、自分たちのスタイルを不器用なまでに頑なにやり通す彼らの音楽からは、ロックや自分たちが作り出す音楽に対する限りない愛が感じられ、悲しくて切なくてロマンチックで美しい。僕は、10代の頃よりもますますロックが好きになっているような気がする。
 
そんなわけで、まずは封を開けたばかりの2016のトラベラーズノートダイアリーにラモーンズのステッカーを貼ってみた。なんだか高校生みたいだな。