2022年6月20日

やっぱり旅はいいね

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北海道の旅を終えて東京に帰ってくると、翌日からバタバタと日々の仕事に翻弄されて、旅の余韻も感じる間も無くあっという間に日常が戻ってくる。あれから一週間も経たないのに楽しかった旅がずいぶん昔のことのように感じられてしまう。
 
旅が終わってから最初の休日。一番茶を飲み終えた急須に再びお湯を入れて、少し薄くなったお茶をしみじみ味わうように、ノートに向かって再び記憶の中で旅を反芻する。
 
UNWIND HOTEL & BAR小樽でのイベントが無事終わり、撤収を済ませてホテルを出ると、スタッフの方がおすすめしてくれた、なると本店でイベントの打ち上げを兼ねて夕食を食べた。皮はパリパリで中はジューシーな小樽名物、若鶏の半身揚げをかじりながら、ビールで乾杯する。お腹を満たすと、小樽駅まで歩き、そこから電車で札幌まで移動する。
 
小樽が地元でもあるUNWIND HOTELのAさんに小樽のおすすめの場所を聞いたら、「札幌から電車に乗って小樽に向かっていくと、海が見えてきて海岸ぎりぎりのところを電車が走っていくんです。それを見ると、ああ、小樽に帰ってきたんだ、としみじみ思うんですよ」と言っていたのを思い出して、車窓を見たけれど、外はまるですべての電気を消したように真っ暗で何も見えない。乗る人も少なくガランとした静かな札幌行きの鈍行列車に乗っていると、旅情のさびしさみたいな感覚が胸に湧き上がってきた。
 
そういえば、Aさんと一緒にずっとイベントのアテンドをしてくれたMさんは、毎日、札幌が電車で小樽まで通っていると言っていたから、彼女は毎日この電車に乗っているんだなと思った。AさんもMさんも自分の娘と年齢がほとんど変わらない若い女性だ。ドラマ「北の国から」で、螢が看護学校に通うため、毎日、富良野から旭川まで始発電車に乗っていたシーンを僕は思い出した。その後、ドラマの中で螢は、道に外れ気味な波瀾万丈の人生を歩むことになるのだけど、お二人には螢と違って穏やかで幸せな人生を送ってほしいなと、まったくもって大きなお世話な思いが頭の中をよぎった。
 
そんなことを考えているうちに、札幌に到着。この日はUNWIND HOTEL & BAR札幌に泊まる。ホテルに着くと、UNWIND HOTELの大場さんが待っていてくれて、屋上の素敵なバーでこの日2回目の打ち上げをする。みんなでお酒を飲みながら、お互いの出会いから今回のイベントに至るまでのことを楽しく話をした。
 
翌日は、車で札幌から旭川まで走りながら、トラベラーズノートとの風景を撮影することにしていた(実際に撮影するのは橋本だけど)。毎回、旅先の風景を表紙にしていたトラベラーズタイムズもここ数年は旅ができなかったこともあり、京都や中目黒のトラベラーズファクトリーで撮影した写真を使っている。せっかくの北海道でのイベントということで表紙にできるような写真が撮れればと思っていた。
 
札幌から富良野や美瑛などを巡り、ところどころで車を止めながら、写真を撮影。北海道らしい風景の中にあるトラベラーズノートを撮影することもできて、そろそろ旭川に入ろうかと思っていたところで、最後に美瑛の白樺の木が並ぶ田園風景の中で車を止めた。
 
時間は18時50分。だんだん日が沈み始めたところ。空は厚い雲に覆われていて、地平線の近くでは、雲の切れ目からは黄色の太陽の光が差し込んでくる。雲がなければもっときれいなのかもしれないのに、と思いながらも、白樺の手前にトラベラーズノートを置いて夕日をバックに撮影してみた。

「なかなかいい感じだね」それなりに満足しながら写真を撮り続けていると、日が沈むにつれて、夕日が反射して空を覆う雲が赤く染まっていく。まさにマジックアワーだ。

「どんどん空が赤くなっていくぞ」時間が経つほどにシャッターチャンスが更新されて美しさを増していく景色を前に、高揚感とともにしばらく撮影を続けた。
 
「あのときもこんな感じだったよね」僕らは5年前のアメリカでの旅を思い出していた。LAのエースホテルでノートバイキングを開催後に、車でパームスプリングスまで移動した。
 
エースホテルにチェックインし、ラジオをつけると偶然流れてきたU2の「With or Without You」に触発されて、急遽「ジョシュア・ツリー国立公園」へ向かう(同曲が収録されたU2のアルバムジャケットの写真が撮影された場所として知られている)。なんとか日没まで間に合うよう急いで車を走らせ、着いたころには、まさに日が沈もうとしている時間。慌てて車を止めて、あのジョシュア・ツリーの前にトラベラーズノートを置いて、写真を撮っていると、どんどん空が赤くなってきて、自然が演出する壮大で美しい風景に感動した(このとき撮影した写真は、トラベラーズタイムズ13号の表紙に使っている)。美瑛の夕暮れを眺めながら、今回の北海道の旅と5年前のアメリカの旅が繋がったように感じた。
 
UNWIND HOTEL小樽もエースホテルと同じように古い建物をリノベーションしたホテルで、似た空気感のある場所だし、あのときと同じようにイベント後の高揚感のままで旅をして、大自然の中でマジックのような風景に遭遇した。
 
「やっぱり旅っていいね。もっと旅をしないとだね」旭川に着き、ジンギスカンとビールで旅の最後の打ち上げをしながら、そんなことを話した。
 
旅は、過去の旅の記憶をあぶり出し、新しい旅へと導いてくれる。やっぱり旅はいいな。
 
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