2022年8月15日

日本一周 秋田-新潟編

20220814b.jpg
 
先週は夏休みということで、トラベラーズバイクでの日本一周の旅の続きをした。

今回は秋田から新潟まで260キロ。この旅はとにかく移動をすることが一番の目的で、走行距離を増やしたくないから、観光みたいなことはほとんどしないし、人との触れ合いもほとんどない。旅の時間の大半は、自転車で黙々と走っているか、もしくは疲れてどこかで休んでいるかのどちらかで、グーグルマップの目的地までの距離が減っていくことが一番の喜びになっていたりする。

正直に言えば、これは旅としてどうなのかと思う。まるで、いつも学校の成績を気にして、みんなと遊ばずに勉強ばかりしている中学生か、売上だけをひたすら追求する営業マンみたいで、はたしてトラベラーズらしい旅のやり方なのだろうかと考えてしまう。

ただそうは言っても、運動神経に自信はないし、スポーツを避けて生きてきたこともあって、1日の走行距離は長くても80キロ程度にとどめ、もちろんその距離を伸ばしたり、好タイムを目指したりするようなことはない。走っているときには、次はどこで休憩をしようか、なんてことばかりを考えていて、走っている途中で、道の駅を見つけたらとりあえず自転車を停めるし、そこに温泉施設があったら迷わず入って休む。急がず慌てずがんばり過ぎないがモットーだ。

だから本当のことを言えば、勉強をするふりをして実は深夜ラジオを聴いているから、いまひとつ成績が振るわない中学生のようでもあるし、少し注文をもらっただけで安心して、つい営業中に車で昼寝してしまう営業マンのようでもある。

とにかく、誰かに会いに行ったり、そこでしか味わうことができない体験をすることこそ、旅の醍醐味ではあるのは間違いないけれど、A地点からB地点まで線を引くように、ただ移動していくだけの旅にもなぜか惹かれてしまうのだ。

知らない土地の田園地帯を走っていて、夕暮れ時にふと涼しい風が吹いてくると、なんとも言えない心地よい気分になるし、やっと辿り着いた小さな町の喫茶店で、普段だったら注文しないパフェなんかを頼んで疲れた体に冷たくて甘い味が体に染み渡っていくと幸せな気分で満たされていく。そして何より、移動し続けることで、今自分が旅人であり、ここではないどこかに向かっていることを実感できるのが嬉しい。

そんな旅の途中、コーヒーを飲みながら休憩しているときの、手持ち無沙汰な時間に書いた日記をここに転載したいと思う。たぶんそんな人はいないだろうけど、似たような旅をする人に参考になれば嬉しい。

8月9日(火)1日目(秋田ー由利本荘
いつもは仕事に出る時間に家を出て、自転車で上野駅まで向かう。駅前で輪行バッグに自転車を詰めて秋田行き新幹線に乗る。上野を出て約4時間、13時過ぎに秋田に着く。予報では雨だったけれど、幸い降っていない。秋田駅から3キロほどにある「ラーメンショップチャイナタウン」でちゃんぽんと餃子で昼食。満腹になると、ひたすら海岸線を南へ下る。

15時半、今日の行程のちょうど中間地点にある道の駅「岩城」に温泉施設を見つけたので入る。日本海を臨む風呂にサウナもあって快適。お風呂に入っていると突然強い雨が降ってくる。雨宿りも兼ねて雨が止むまで2時間近くそこにいる。その後、何度か小雨にあたりながら、19時半に道の駅「にしめ」に併設している今日の宿に着く。レストランのラストオーダーが20時までと言われ、部屋で濡れた服を着替えてまずは食事をとる。メニューにおすすめと書かれてた親鶏煮とビール、さらに海鮮丼をオーダー。親鶏煮は、鶏の身を醤油とみりんで煮込んで刻んだネギをたっぷり添えたものだった。食後に風呂&サウナで疲れを癒して寝る。

8月10日(水)2日目(由利本荘ー鶴岡)
7時15分起床。まずは朝風呂&朝サウナ。ホテルでの朝飯は、卵、ハム、シャケ、肉じゃが、梅干しの正しい日本の朝ご飯のラインアップ。9時半にホテルを出る。天気予報は今日も終日雨。ただ空はどんよりしているけれど雨は降っていない。11時ごろに少し遅い朝のコーヒーでも飲もうと、象潟(きさかた)駅前の喫茶店「くにまつ」に入る。メニューを見ていたら、コーヒーよりもかき氷が食べたくなって抹茶小豆氷をオーダー。甘くて冷たい氷が疲れた体に染み渡る。さらにコーヒーもオーダーして30分程度の予定が1時間近くも休んでしまう。象潟は昔営業として1回だけ来たことがあり、そのとき行ったお店の名前はなんだったっけなあ、なんて思っていたら、偶然その店が目の前に現れる。店構えを見た瞬間、ここだ、と思い出した。今でも営業していることに感慨深くなる。
 
20キロほど走り、道の駅「鳥海」の近くに温泉施設があったので、自転車を止めて風呂に入る。のんびり1時間半ほど過ごす。少し休み過ぎたので酒田まで休まず走ることにする。幸い心配していた雨も降らず、天気予報をチェックしたら雨のマークは曇りに変わっていた。
 
16時、酒田に着く。お腹が空いたので遅い昼食をラーメン屋「花鳥風月」で。酒田のラーメンは有名らしく、ここで食べたワンタンメンは、昔ながらの醤油ラーメンといった感じで好みの味だった。酒田からはずっと平地だったこともあり、思ったより早く今日の目的地、鶴岡に着く。とりあえずコーヒーを飲んで休むことにする。メニューがメルドリップで淹れるコーヒーのみというこだわりの喫茶店「コフィア」に入る。一番深煎りの豆を、と頼んででてきたコーヒーは、苦いだけでなく、ほのかに甘味があり、後味もすっきりしていて、ほんとうにおいしくて、思わずお土産に豆も買ってしまう。
 
19時、ホテルにチェックイン。この日の宿は鶴岡駅前の安いビジネスホテル。少し部屋で休んでから、散歩がてらホテルの人に聞いたおすすめの食堂まで歩いて行き、夕食。刺身定食とビールをいただく。夜、知らない町を歩くのは楽しい。ホテルに戻るとコインランドリーで洗濯をして寝る。
 
8月11日(木)3日目(鶴岡ー村上)
7時半起床。ホテルにて無料サービスの朝食をしっかりいただき、9時過ぎ出発。天気は曇り。アップダウンを繰り返す道を35キロほど走り、11時に道の駅「あつみ」に着く。ソフトクリームを食べて休憩。天気は晴れ間が出て、雨の心配はなさそうだけど、その分暑さが厳しい。
 
13時、公衆浴場、勝木ゆり花温泉に立ち寄る。気持ちいい露天風呂にゆっくり浸かり14時出発。しばらく日本海沿岸美しい海岸線を走る。昨日までと違い今日は晴天だからか海水浴客が多い。15時半、道の駅「笹川流れ」着。かき氷を食べてしばらく海を眺める。ここからは今日の目的地、村上まで一気に走る。
 
17時、村上駅に着く。駅の案内図に書かれていた町屋街を自転車で巡ってみる。町屋を使ったカフェや土産物屋があったけど、もうすでに閉まっていたのでそのまま宿に行く。宿は大正11年の創業の駅前旅館、扇谷旅館。素晴らしい宿。歴史ある古い建物でありながら、清潔で快適で洗練されている。夕食もおいしかった。共有スペースには自由に読むことができる本がある。その中に映画を見て以来、再読しようと思っていてすっかり忘れていた「ドライブ・マイ・カー」が収録されている村上春樹の短編集があったので部屋で読む。この旅ではじめての畳の上に布団で寝る。
 
----
まだ続きがあるのだけど、長くなったので続きはまた次回掲載したいと思います。
 
20220814c.jpg

20220814d.jpg

20220814e.jpg
 
20220814a.jpg