2022年8月22日

新潟、街めぐり

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夏休みが明けると、気分の乗らないミーティングがあったり、楽しくお風呂のインスタライブをしたり、休み前の仕事のミスを見つけてうなだれたりして、いつものようにバタバタと日常が始まる。
 
一週間前には、どうしてこんなことをしているのだろうと思いながら、暑い中で新潟までの道のりをへとへとになって自転車を漕いでいたはずなのに、もうそんな記憶もだいぶ薄れてきたみたいだ。日焼けした腕がかすかにその苦行のような道程を思い出させるけど、その腕も脱皮するように皮が剥けはじめた。きっとあと一週間もすれば、旅の痕跡はきれいさっぱりなくなってしまい、旅のことを誰かに話す機会もなくなるのだろう。良くも悪くも、楽しかったことも辛かったこともそのうち忘れてしまうから、旅を振り返りながら、こうやって日記を書いているのかもしれない。
 
先週は秋田から村上までの道のりを綴った。そこから新潟までは56キロ。あと少しだ。村上の扇谷旅館でしっかり朝食をいただいてから、出発すると、途中いつものように温泉施設で休憩をしながら、のんびり新潟へ向かった。だけど、この日は朝から日差しが強く暑い。
 
夕方いよいよもうすぐ新潟駅というところで、カフェに入りパフェとコーヒーをオーダーして休憩。汗で濡れたTシャツに短パンの日焼けしたおじさんが、女性しかいないおしゃれなカフェに入り、ひとりで嬉しそうにパフェを食べている姿は、冷静になって考えれば、ちょっと異様なのかもしれないけれど、旅も後半になるとそんなことは気にならなくなる。だって、暑い中で長時間、自転車で走って疲れた体には甘くて冷たい食べ物が何よりのご馳走だし、先を急ぐわけでもなければ、ゆっくり休みたい。僕はパフェをたいらげると、コーヒーを飲みながらノートに日記の続きを綴った。
 
カフェを後にすると再び自転車に乗り、17時ごろに新潟駅近くのホテルに到着。新潟は30年前くらいに一度来たことはあるけど、通りがかっただけなので、記憶もほとんどない。今回の旅では、翌日の夕方に上野行きの新幹線に乗るまでのほぼ丸一日、ゆっくり新潟を巡ることにした。
 
お腹が空いていたので、まずはとんかつ太郎というお店に行き、新潟の名物でもあるカツ丼でお腹を満たす。食後には、その近くにキングコングという中古レコード屋があったので、立ち寄る。入ったのは閉店間際の時間ではあったけど、品揃えがかなり充実していて、閉店ぎりぎりまでじっくり店内を見入ってしまう。持ち歩くのが難しいから、アルバムは諦めたけど、サイモン&ガーファンクルの「アメリカ」とキッスの「ハード・ラック・ウーマン」のシングル盤を見つけて安かったので思わず買ってしまう。
 
その後、銭湯、金の湯へ。ここは地元の方が通うようなローカル銭湯だけどサウナに露天風呂もあって充実した銭湯だった。サウナは蒸気がたっぷりの熱めのスチームサウナで中では木の板に腰掛けるようになっていた。すると、みんなお湯をたっぷり入れた桶を持ってサウナに入ってきて、自分が座るスペースにお湯を流してから座り、サウナを出る際には再びお湯を流してきれいにして出ている。それがここの流儀らしい。2回目のサウナからは、僕もみんなに習って桶を持って入った。初めて入る銭湯で、こういったローカルルールに触れるのも楽しい。
 
銭湯でさっぱりしたら、新潟駅まで戻る。小腹が空いていたので、ホテルに戻る前に駅前にあったロイヤルホストに入る。メニューを眺めていたら、期間限定メニューのメロンパフェが食べたくなって、この日2回目のパフェ。さらにコーヒーを飲んでホテルに戻る。そういえば、この旅ではかなり体力を消耗したはずなんだけど、体重は1キロ増えていた。
 
翌日は、朝からこれも新潟名物のバスセンターのカレーでお腹を満たすと、新潟市美術館へ行き、マン・レイ展を見る。新潟は、駅周辺と共に、信濃川を渡って海側にある古町通が繁華街のようになっている。美術館でもらった地図を見ながら、本町通から古町通を走ることで、ざっくりではあるけれど新潟の土地勘みたいなものが頭の中でイメージできてくるのが嬉しい。
 
ここが昨日来たとんかつ太郎だったのかと思ったり、なぜか山田や殿馬、岩鬼などドカベンキャラクターの銅像が並んでいたので写真を撮ってみたり、トラベラーズファクトリーでお世話になっているhickory03travelers のお店を偶然見つけたり、なんとなく入った古着屋さんで、ヴァン・ヘイレンやメタリカなどのメタルバンドTシャツに数万円の値段が付いているのを見て驚いたりしながら、自転車での街歩き(?)を楽しんだ。
 
街歩きの最後は、ここだけは最初から行きたかった北書店へ。ここは西荻のTitleや京都の誠光社、盛岡のBOOKNERDのような、個人経営の独立系セレクト書店として有名な書店。ただ店主の病気を理由に8月末で閉店してしまう。そのためか店内の在庫は少なめではあったけれど、良質な書店が持つ独特の凛としたオーラを感じる、すばらしいの書店だった。

北書店を後にすると、新幹線に乗るまで少し時間があったので、昨日とは別の銭湯、さか井湯に立ち寄ることにした。ここにもスチームサウナがあったので、僕は勝手知ったる気分で、桶にたっぷりお湯を入れてサウナに入った。最後にラーメンとビールで今回の旅を締めて、新潟駅から新幹線で上野に向かった。そういえば、上越新幹線「とき」に乗るのは初めてだったな。次は新潟から富山に向かうのか、その前に佐渡島を巡ってみるのもいいな、そんなことを考えながら帰途に着いた。
  
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