成田空港にて
テレビのニュースで、ChatGPTというサービスが今話題になっているの知り、早速アプリをダウンロードしてみた。
ニュースによると、チャットで会話するように質問を投げかけると、それにAIがインターネット上の情報を探して、会話するように答えてくれるというサービスで、アメリカでは学生が論文を書くのに使っていたりして、弁護士や先生などの知識労働がいずれはこれに置き換えられてしまうと危惧されているとのこと。
早速アプリを立ち上げると、なんとなく「トラベラーズファクトリーは京都にもあるんですか?」と打ち込んでみた。すると、AIはしばらく考えてこう答える。
「いいえ、現在京都にはトラベラーズファクトリーの施設はありません」
はっきりと間違ったことを言うことにちょっと違和感を感じながらも、トラベラーズファクトリーもまだまだ知られていないんだなと思った。
続いて「いや、あるって聞いたんだけど」とちょっといじわるな返しをしてみた。するとAIはまたしばらく考えてこう答えた。
「それは本当ですか?はい。本当です。詳細は、場所やタイミングなどにより異なりますが、複数の都内で開催されるイベントが開催されています。イベントの日程は公式サイトなどで確認することができますが、詳しい内容については、イベント担当者から問い合わせして確認するようにしましょう(原文ママ)」勝手に自問自答して、それっぽいことを言っているようだけど、何を言っているのかよく分からない。僕は正直に「何を言っているのか分かりません」と入力。すると、またしばらく考えた上でこう返事が来た。
「): I’m sorry, I don’t understand what you are saying.」
それまで日本語で答えていたのに、いきなり不満げな顔文字のあとに、英語で何を言っているのか分からないと返してきた。噛み合わない会話に、AIにもてばれているような気分になりながらも、思わず笑ってしまった。AIがきちんと質問に答えてくれないことにむしろほっとしたような気分になったのかもしれない。
AIは今も急速に進化しているだろうから、そのうちトラベラーズファクトリー京都のことも正確に教えてくれるようになるとは思うけれど、情報はどこ(だれ)から得るかによって、その信憑性や意味合いを判断するわけだし、人と人がリアルに会って話すことの価値はなくならないとも思った。
話は変わり、トラベラーズファクトリーエアポートは、2月15日に無事、再オープンを迎えた。平日にもかかわらず、ここに来るために成田空港に来ましたという方もたくさんいて、3年ぶりのオープンを賑やかに迎えることができました。
「再開してくれて嬉しいです」とか、「この日のために有給をとりました」と伝えてくれる方も多く、たくさんの方がここの再開を待ち望んでくれていたの知って、僕らは感謝の気持ちと共に、厳しい3年をなんとか乗り越えて、またこうやって再開できてよかったとしみじみと思った。
再オープンにあわせて、活版ステッカーのノベルティを作ったのだけど、この配布条件に「ご自身がお使いのトラベラーズノートをご提示いただいます」という項目を加えさせてもらった。これは正直に言えば、転売目的のバイヤーにノベルティを渡したくないと考えて設定した条件で、そのために普通のお客様に余計な手間をとらせてしまうことにとても心苦しい想いを抱いていた。
だけど、実際にお店にいると、皆様がお会計の際にご自分のトラベラーズノートを見せてくれて、それをきっかけに「かなり味がでて素敵ですね」とか、「京都に行ってくれたんですね!」など、楽しいお話がたくさんできたのは予想外の嬉しいことだった。
さらに新春イベントの景品として先月末に送った、ウサギ柄のトラベラーズノートを早速使ってくれている方もいて、笑顔でそのノートバッグから取り出してくれるを見て、喜んでいただく方にきちんと届いていることを知ることができたのも嬉しいことだった。
エアポートは、その場所の特性上、トラベラーズノートをすでに使ってくれている方から、まったく知らない海外からの旅行者までさまざまなお客様が訪れる。なので、同じ商品のことを説明するにしても、当然お客様によって説明の仕方も変わる。
また、トラベラーズファクトリーでは、それぞれのお客様の好きなことや興味を持ったことと、私たちの好きな何かとの重なる部分を共感とともに話しながら、質問に答えていくことも多くある。そのことで、お客様にノートの使い方や楽しみを知っていただくだけでなく、私たち自身が教えてもらうことも多い。
この日、この空間で交わすことができた会話は、絶対にAIで置き換えることができないはずだし、そんな会話の楽しみをAIに代替えしてしまうのはもったいないとも思った。
エアポートの再オープン前日、成田空港でバタバタと準備している最中、トラベラーズノートのオリーブを4月に定番としてリリースするとの情報をSNSにアップした(詳細な情報はあらためて3月に公式サイトにアップする予定です)。今回SNSでアップしたのは、恥ずかしながら、あるところからこの情報が漏れてしまい、既にいくつかのSNSで発信されているのを知って、私たち自身から正確な情報を伝えたかったからです。
再オープン準備が終わり、夜にあらためてSNSをチェックしてみると、たくさんの「いいね」と嬉しいコメントをいただき、ほっとするのと同時に、まさに佳境を迎えようとしている生産などの準備に向けて、大きな力をいただいたような気分になった。
ふと、思い立ち、ChatGPTに、「トラベラーズノートのオリーブが発売されるんですか?」と入力してみた。するとしばらく考えてこう答えた。
「はい、2020年8月5日にオリーブのトラベラーズノートが発売されます。サイズはB6サイズとA5サイズが用意されています。詳細はオフィシャルサイトでご確認ください」
以前発売した限定オリーブの発売日ともぜんぜん違うし、ずいぶん適当なことを言い切るなと思った。もちろん当オフィシャルサイトにそんな情報は掲載されていない。僕は、プライドが災いするのか、知らないと言えずにいつも適当な嘘を言って話をあわせてくる中学時代の同級生を思い出した。AIもまだまだだな。