2024年11月26日

第13章のトラベラーズファクトリー

 アメリカのイベントがあったりでみんなの都合がなかなかあわず、今年のトラベラーズファクトリーの周年イベントは、オープン記念日から1か月以上過ぎた先週末の開催になった。そういえば、今年はイベントの準備なんかでバタバタして、あらためて13周年を迎えたことを実感する機会はあまりなかったけど、トラベラーズファクトリーで久しぶりに庄野さんが淹れてくれたコーヒーを飲んで、山田さんの歌うノートブックソングを聴き、この13年のことをしみじみと思い返すことができた。

 正直に言うと、この周年イベントは、庄野さんや山田さんにトラベラーズファクトリーに来てもらってイベントをするための口実としてやっているようなところがある。同じメンバーで13年もイベントを続けていくことで、同じ歴史を共有したような関係になれるような気がする。こうやって1年に一度、それぞれの過去を振り返りながら、現状を確認しあえるのは嬉しい。

 歳をとったせいか、最近時間が過ぎるのをあまりにも早く感じるようになって、まだ終わって2週間しか経っていないアメリカのイベントも、帰国すると同時に楽しかった余韻を味わう間もなく、ずっと前のことのように感じてしまう。放っておくとそのうち忘れてしまいそうだから、こうやって日記として記録しておくのは、大切だ。

 一方、10年前のこともついこの間のことのように感じることがある。ことトラベラーズノートを通じての出会いや旅、トラベラーズノートにまつわる仕事は、20年前からずっと現在進行形で今も続いているからなのか、過去の記憶はぎゅっと凝縮してつながっているような感覚になることがある。昨日のことも今日になれば過ぎ去ってしまったただの思い出。だけど、この先も続く長い小説の途中だと思えば、過去は未来に影響を与えるエピソードになる。だから、長い小説を読むと、忘れてしまった過去のページを読み返すこともある。トラベラーズファクトリーの周年イベントは、小説の章の区切りのように、一息ついてこれまでの物語を振り返り、この先の展開に胸をときめかせる機会になっているのかもしれない。

 トラベラーズファクトリーはオープンして13年分の記憶があるけれど、その記憶は遠い過去というよりも、いまだに結末が分からない一冊の長編小説が続いているような感覚だ。オープン準備の高揚感、仲間と出会い実現した数々のイベント、エアポート、ステーション、京都のオープン、この場所で働いてくれたスタッフたちとの出会いと別れ、コロナ禍での苦悩、そして、最近の忙しい日々……。どれも過去の思い出として振り返るには、あまりにも今と地続きの現在であり、未来でもある。ふと思い立ち、トラベラーズファクトリーの周年テーマとあわせて、昔のブログのタイトルを探したりして、小説みたいに章の副題を付けてみた。

序章 路地裏より愛を込めて ー Have a Nice Trip
第1章 ノートが導いてくれる ー One More trip
第2章 ぼくらが旅に出る理由 ー Two Is Better Than One
第3章 こんにちは世界 ー The 3rd Planet From the Sun
第4章 歳をとったら素敵じゃないか ー 1, 2, 3, 4 Hey Ho Let's Go!
第5章 100分の1の奇跡 ー Take Five Minutes
第6章 好きこそ物の上手なれ ー You Can Play Any Melody On Six String
第7章 吾輩はノートである ー Sailing On The Seven Seas
第8章 愛すべき繰り返し ー In an Octopus’s Garden
第9章 誰もいない場所で出会った ー Floating On Cloud Nine
第10章 いろいろ落ち着いたら… ー Ten Notebooks, Ten Colors
第11章 やっぱり旅はいいね ー TRAVELER’S CAFE
第12章 旅人が町へやってきた ー TRAVELER’S TOWN
第13章 胸いっぱいの愛を ー LOVE AND TRIP

 なんとなく意味ありげに適当に章のタイトルを付けてみるだけで、まるでこれまでのトラベラーズファクトリーの歴史がひとつの物語みたいになったみたいだな。頭の中を掘り返せば、さまざまなエピソードとともに13年の物語が浮かんでくる。

 トラベラーズファクトリー13周年イベントでのコーヒーと音楽で満たされた2日間は、今年も楽しく過ごすことができました。まずは足を運んでいただいた方々に感謝します。これからもトラベラーズファクトリーをよろしくお願いします。

そして、アアルトコーヒーの庄野さんと、シンガーソングライターの山田さん、今年も周年イベントにお付き合いいただきありがとうございました。来年また同じメンバーでイベントをできるのを楽しみにしています。

 トラベラーズファクトリーの物語は、まだまだ続きます。こちらも楽しみにお付き合いいただけたら嬉しいです。HAVE A NICE TRIP!