2024年11月12日

USA ROAD TRIP in San Francisco

 シアトルから東京へ向かう飛行機の中でこのブログを書いている。シアトルを出発したのは、夕方15時30分。それから少し眠り、機内食を食べて、映画を一本観て、時計の針は夜の9時を過ぎたところ。シートのディスプレイに映るマップによると、旅程の半分を過ぎたくらいだろうか。飛行機は、まもなく日付変更線を越えようとしている。

 昔何かで読んだ、時差ボケを回避する方法の一つに、飛行機に乗ったら、すぐに時計を到着国の時間にあわせるということがあった。それに従えば、現在の日本時間は午後2時で、さらに日付は翌日になる。飛行機が到着するのは、日本時間で夜7時20分ごろ。自分の経験上、時差ボケを回避するための一番重要なことは、到着した日の夜にちゃんと眠って、翌日の朝に起きることだと思っている。だから、夜に眠れるように、飛行機の中はまっくらでほとんどの人は眠っているけど、僕は夜のシアトルではなく、昼間の東京をイメージして眠らないようにした。

 そういえば、ロサンゼルスからサンフランシスコまでのロードトリップもトータルでは10時間以上かかったから、所要時間はシアトルから東京とあまり変わらないんだな。移動距離もスピードもまったく違うから比べるのはおかしいけれど、時差もあって、移動をしている感覚が乏しく、まるでワープのような飛行機の旅よりも、車や電車などの乗り物の方が、移動していることを体感できる。

 何よりアメリカでの旅といえば、やっぱり車での旅だと思うし、スパイラルリングノートの資材や商品を車に積んで移動をしてのイベントの開催は、まさにキャラバン隊みたいで楽しい。一緒にイベントと旅を繰り返すことで、アメリカのスタッフたちともすっかり意気投合していった。

 ロサンゼルスからサンフランシスコへのルートは、移動距離が少ない内陸の国道を走るのが一般的なんだけど、今回はより景観が楽しめる海沿いの101号線のルートを走った。東京ー仙台間で言えば、最短で移動できる国道4号線ではなく、水戸やいわきを通る国道6号線を走って北上するような感じかな。別に例える必要はないかもしれないけれど。距離で例えると、ロサンゼルスーサンフランシスコ間は、東京ー函館間くらい。そう考えると、まあ結果な距離であることが実感できる。

 朝早くにロサンゼルスを出発し、朝食のためにダイナーに寄り、お昼にはランチをとるのとあわせて、海岸沿いの公園で休んだくらいだったけれど、サンフランシスコに着く頃には、すっかり暗くなっていた(実際に運転したのはアメリカのスタッフだけど)。

 イベント初日。朝6時にロビーに集まる。ベーグルをコーヒーで流し込み、ささっと朝食を済ますと、会場に向かう。

 サンフランシスコのイベント会場は、1940年代から、陶器の食器やフラワーベースなどを作り続けているヒースセラミックスの工場兼店舗のイベントスペースをお借りして開催した。無骨で飾り気がない(けれどそこがかっこいい)アメリカらしい建物に、まさに工場といった質実剛健で無垢な内装の、トラベラーズとしては理想的な空間。さらにポップアップスペースは、ヒースセラミックスの工場と店舗、さらに同じ建物にあるブックショップとパン屋さんによるカフェのすべてと隣接するような場所にあり、彼らの仲間になったような気分でイベントを迎えることができた。

 イベントの開始時間が近づくと、ロングビーチでのイベント同様たくさんの人が列を作って待ってくれている。ここでもまた、たくさんの人たちの笑顔に満ち溢れた素敵な空間が生まれた。ちょうどこの日は、大統領選挙の翌日。早朝から早々に結果が判明し、暗澹たる気持ちの人もいたかもしれない。いずれにしても、トラベラーズは旅を愛するすべての人たちを受け入れていける存在でありたいし、2025年のテーマとして、「LOVE AND TRIP」をこれからも発信していきたいと思う。

 サンフランシスコは、ヒッピーとかフラワームーブメント、ラブ&ピース発信の土地でもある。ビート文学の聖地、シティライツ書店では、「自由に本が読める世界のために、投票しよう!」と書かれたポスターが配られ、イベントのポップアップスペースには、「すべての人種、すべての国籍、すべての宗教、すべてのジェンダーを歓迎します。私たちはすべての人に寄り添います。ここでは誰もが安全です」とのメッセージが掲示されていた。

 イベント中、休憩で外で一服していると、さっき会場で話をしたお客さんと目があったので、軽く手を振った。すると、彼女は帰ろうとしていたのに、ふと何かを思い出したようにこっちに向かって歩いてきた。そして、「さっき言い忘れたんだけど」と僕に言葉をかけた。

「トラベラーズノートは、デザインは美しいし、カスタマイズアイテムもたくさんあって、どれも品質もデザインもすばらしい。でもね、トラベラーズノートの一番の魅力は、人と人を繋げてくれることなの。自然と誰かと出会い、コミュニティーが生まれて、生活が楽しくなるの。こんな商品、他にはないわ。これだけ、最後に言っておきたかったの。サンフランシスコに来てくれて、ほんとうにありがとう」

 それだけ言うと、彼女は足早に去っていった。僕はなんだか胸がいっぱいになって、ただ「サンキュー」としか返すことができなかった。

 いつの間にか眠ってしまったようで、ディスプレイに映るマップを見ると、羽田空港到着まであと2時間弱。ブログを書くのはこの辺で終わりにして、もう1本映画を観ることのしようと思います。アメリカ旅の続きはまた後ほど。