2025年10月27日

雨漏りと14周年

 最近、ちょっとサボり気味だったけれど、周年記念イベントがはじまるということで、黒板に絵を描くために、先週金曜日の夜、トラベラーズファクトリー中目黒に行った。

 ちょうどその前日、トラベラーズファクトリーの2階ではけっこうな雨漏りが発生した。この日には大将こと成田さんに来てもらい、緊急措置として怪しい箇所にシートをかけてもらった。5、6年前から台風や大雨が続くたびに雨漏りをしていたため、2年前に屋根を張り替える大幅な修繕を行っている。それ以来しばらく雨漏りもなかったのだけど、ここ何ヶ月はたまに天井からの雨が2階の床にたれてくるようになった。

 先週の雨は、細かい雨が降ったり止んだりがするのが1日続いたけれど、雨量はそれほどでもなかった。それなのに床の一部が水浸しになっている写真を見て、またかあ…と落胆した。

 雨漏りは原因の特定が難しく、特にトラベラーズファクトリーのような古い建物だと、その原因もひとつでない可能性もある。この日の処置もそれで防げるかどうかもわからない。成田さんによると、もともとたくさんのヒビがある外壁には、先月になかったヒビが増えていて、それが原因かもしれないと言っていた。

 そういえば、オープンのときにあった周りの建物は、この14年でほとんど建て替わってしまった。今もひとつ隣の建物が取り壊されて、新しい建物の建築が始まろうとしている。そんな状況に嘆く気持ちもあるけれど、古い建物を使い続けることの大変さも最近は実感するようになってきた。

 14周年イベントを迎えるのあたって、こんなことで悩むのもそれだけ歴史を重ねてきたからでもある。あらためて思うのは、何かを新たに立ち上げることよりも、続けて育てていくほうが大変だし、難しいということだ。だからこそ、長く続いているものや、歴史があるものに敬意を払いたいと思う。

 そんなことを考えながら1時間ほどかけて、14周年のテーマでもあるトラベラーズスピリットのロゴとイラストを描いた。ずっと周年を迎えるときに描いていたから、個人的にはこれを描かないとクリスマスのツリーや正月の鏡もちがないみたいで、落ち着かない(どっちも自分の家にはないけれど)。

 1階ではスタッフが、翌日から販売するダン・ラ・ナチュールのトラベラーズビスケットや、テテリアの紅茶などを並べていた。

 トラベラーズビスケットは、トラベラーズファクトリーがオープンして何ヶ月かして、ダン・ラ・ナチュールのなっちゃんがトラベラーズノートをイメージして作ってくれたお菓子だ。当時は、トラベラーズノートの革の色は黒と茶の2色しかなかったから、その2色にあわせて2種類のビスケットを作ってくれた。ほろ苦いココアの味とクリームのハーモニーが楽しめる黒、ガリっとした素朴な食感が楽しめる茶。最初になっちゃんが送ってくれた見本を食べたときは、そのおいしさとトラベラーズノートのビスケットができたことで感動したのを覚えている。

 トラベラーズビスケットは、あれからしばらくトラベラーズファクトリーの定番としていつも店頭にあったのだけど、その後なっちゃんの産休・育休とかあって、しばらくお休みをしていた。それが3年前に復活して、以来周年イベントのタイミングのときだけの限定で作ってもらっている。

 テテリアの紅茶、トラベラーズカモマイルミルクもトラベラーズノートをイメージして、2013年に店主の大西さんにご用意してもらって以来、周年のタイミングでずっと販売を続けている。

 そして、来月にはオープン以来トラベラーズブレンドを焙煎してくれているアアルトコーヒーの庄野さんのカフェイベントに、オープン以来毎年開催してくれている山田稔明さんのライブもある。

 とにかく、今年も無事周年を迎えることができてほっとしている。ほんとうにトラベラーズノートやトラベラーズファクトリーにお付き合いいただいている皆さまのおかげです。なんとか古い建物を修繕しながら、これからも続けていきたいと思っていますので、お付き合いいただけるたら嬉しいです。