あれから1年
ドジャーズがワールドシリーズを連覇したということで、テレビのニュースで優勝パレードの模様を流していた。昨年の同じ頃、僕はイベントのためにアメリカに行っていた。イベントの前日、リサーチで店を巡ろうとホテルからロサンゼルスの中心地に向かってハイウェイを車で走っている途中に、車線の向こう側にパレードのバスを見つけた。車の上には、選手らしき人たちがたくさん乗っていたけれど、その顔を見分けられるような距離ではなく、大谷選手を見つけることもできなかった。
その後、ロサンゼルスのダウンタウンに入ると、パレードを見に来た人々で歩道は埋め尽くされ、多くの人が飲み食いをしながら賑やかに盛り上がっていた。大谷の名前の入ったユニホーム風のTシャツを着ている人もたくさんで、市民から愛されているのが伝わってきた。
彼の活躍は同じ日本人として素直に嬉しいけれど、あそこまで才能と高い潜在能力がある上に、ストイックなまでに真面目に努力を重ね続け、多大なプレッシャーに負けることなく期待にも完璧に応え、なおかつ驕ることもなく謙虚で、その上かっこよくて感じもいい。自分とかけ離れすぎていて、もし自分が大谷だったら、どんな気分なんだろうと想像してみてもまったくイメージが頭に浮かんでこない。共感や嫉妬、憧れといった感情を通り越して、ただただすごいと感じるだけだ。
それはともかく、ニュースで今年も優勝したドジャーズのパレードを見て、「あれから1年たったんだなあ」としみじみ思った。ついこの間のような気もするし、ずいぶん昔のような気もする。個人的にも良いことも辛いこともいろいろあった濃い1年だったな、としみじみ思い返した。
先週末には、トラベラーズファクトリーのサイトにクリスマスの情報をアップ。これもまたこまかいアイテムの違いはあるけれど、毎年恒例のことで、テキストを入力しながら、「またこの季節なんだな」と感慨深くなった。
これもここ数年定番となっている、シロクマのレザータグやブラスのバッジ、チャームについてのテキストを書きながら、ふと思った。
あらためて書くのは恥ずかしいのだけど、このレザータグなどに登場するシロクマは、毎年クリスマスの季節になると、旅人たちのクリスマス気分を盛り上げるために、遠い北極圏からトラベラーズファクトリーまで旅をしてやってくる、という設定になっている。もちろん妄想を元にしたファンタジーだけど、2018年にクリスマス限定のギフトシールとして登場し、2020年にレザータグを作って以来、ずっとそういうことになっているのだ。
だけど、今年の異常なクマの出没状況を考えると、妄想のファンタジーとも言えない気がしてきた。僕もかつて営業で担当していたから分かるけど、クマが出没した盛岡市内の盛岡銀行や、秋田市の繁華街は、森や山からかなり離れた町の中心で、近くには車もたくさん走っているし、人通りも多い。そこだけ切り取れば東京のどこかの町とそれほど変わらない場所だ。
そもそも日本にそんなにクマがいたという事実にも驚くが、青森の村役場に正面玄関の自動ドアからクマが侵入してきた映像を見ると、トラベラーズファクトリーにクマがやってくる、という設定がもはや単なる妄想のファンタジーでは済まなくなってきたような気がしてきた。
そういえば、あらためて店内を眺めてみると、スパイラルリングノートのMDホワイトにはシロクマの刻印が押されているし、benlly's & jobのクマシャケにクマノートもある。毎年開催している「手作りの道具たち展」では木工作家の角田さんのシロクマグネットが定番だし、前にはLOG-ONとのコラボで、パトリックによりマニュアルファクトリーベアのリフィルやチャームも作った。トラベラーズファクトリーには、クリスマスのシロクマ以外にもけっこうクマが登場しているのだ。
クマの出没が増えた背景には、どんぐりの凶作に地球温暖化、農村地の過疎化、都市への人口集中など、さまざまな原因があるようだけど、これまで保たれていたクマと人間との距離が縮まったことで、さまざまな悲劇が生まれてしまうのは、やはり心が痛む。
トラベラーズファクトリーのサイトに掲載するシロクマのレザータグにブラスのバッジとチャームのテキストについては、何人かのスタッフに聞いてみたら、「そのままで大丈夫だと思いますよ」とのことだったので、妄想によるファンタジーの設定を今年もそのまま掲載した(そんな設定自体を気にしている人は、ほとんどいないでしょ、ということなんだろうけど)。
そんなわけで、トラベラーズファクトリーでは今週11月12日より、クリスマスギフトにおすすめのアイテムなどが並びますので、ぜひ。