2008年9月23日

和紙の郷

日本で有数の和紙の産地、越前には手漉き・機械漉きの和紙製産やその和紙の加工のための工場が集まっています。今回の出張では、新商品のための生産立ち会いにあわせて、そんな工場や工房を見学してきました。
 

 

 
和紙の加工に「墨流し」という和紙に柄を付ける技法があります。福井の無形文化財に指定されているこの技法の唯一の職人、福田忠雄氏さんの工房で、「墨流し」を体験させていただきました。
 
そっと筆で水面に墨をつけると、水の波紋が柄になって現れていきます。幾十もの水紋を描いたあと、水面にそっと息を吹きかけるとマーブルのように水紋が変化していきます。最後に、和紙にその柄を写し取るとできあがり。
 
水の波紋や空気の揺れが微妙に影響し、2つとない唯一のパターンができあがります。一見簡単ですが、福田さんの作ったものと比べると弱々しく雑な感じになってしまいました。
 

 
自然の力による偶然性と職人の技と経験による必然性により、唯一無二の美しい模様ができあがります。決してマス・プロダクトに簡単に使える技法ではありませんが、遺していきたい文化です。下の写真は、福田さんの作品です。
 

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