2008年10月 7日

暮らしのリ・デザイン

本を探すときは、いろいろなパターンがあると思います。誰かのおすすめだったり、本で紹介されていたを見つけたり、お気に入りの作家の新しい本だったり・・・。本屋で何気なしに手にとった本で、特別期待もしていない本が思いのほか面白かったりするのは、本が好きな人にとっては嬉しいものです。
 

 
こちらの本は、前に京都に行ったときに購入した本。作者も本のタイトルも知らなかったのですが、感じの良い陶磁器やお椀と並んでこの本が売っていて、自然にレジに持っていってしまっていました。お店の思惑通りに身を任せてしまって購入した本です。しかもレジに持っていき、その本が古本で定価よりも高い価格が付いていたのに気付いたのでした。
 
で、後悔したかというとその逆です。
 
前置きが長くなってしまいましたが、秋岡芳夫著「暮らしのリ・デザイン」私たちが普段使う箸や茶碗やお椀などの道具には、どれも日本人の暮らしのなかで培われた最適な重さや寸法があり、職人は巧みな技と技術で作られるモノにはきちんと訳があるということを教えてくれます。
 
例えば、日本人のように手に持って使う汁を入れるお椀は、100グラムがちょうど持ちやすいサイズ。さらに、プラスチックのお椀はまっぷたつに割ると厚みが均一になっているが、職人が作ったお椀は底のほうが少し厚くなっている。これは、重心が下にきて手に持ったときに持ちやすいようにそうなっている。
 
大量生産の一見似たような安物と、長年の歴史の中で受け継がれた職人の技によって出来た良いものとの違いをとても分かりやすく解説してくれます。きちんと作られたものを大切に長く使い続けるライフスタイルをロハスという言葉が生まれるずっと前から推奨しています。
 
28年前に書かれた本ですが、今この時代だからこそ必要なモノ作りやモノを使うためのヒントをたくさん見つけることができます。