2009年2月 6日

The Americans


 
会社から歩いて5分のところに、素敵な本屋さんがあります。その本屋さん「ナディッフアパート」は、デザイン系の本を中心に、輸入物の写真集や画集、アーティストのリトルプレスなどがセンス良く揃えられています。お昼休みにちょっと覗ける場所に、そんな本屋があるのは、なかなか嬉しいものです。普段は本屋で手に取ることもない写真集もそこでは自然と開いてしまいます。
 
ロバート・フランクの「The Americans」は、手に取って開いた瞬間、胸にグッとくるのを感じた写真集でした。そう感じたのは、その作者をどこかで聞いたことがあったり、序文を「路上」のジャック・ケルアックが書いていたりしたからだけではないはず。
 
1950年代のアメリカ、市井の人の生活を写しとった写真は、まるでその時代のアメリカを旅したような気持ちにさせてくれます。でも、その旅は明るく楽しい旅ではなく、そこで暮らす人達の緊張や不安、絶望から目をそらさずに直視していくヘビーな旅。
 
ジュークボックスの前で所在なく佇む男。蒸気が漂う工場で、黙々と仕事をしている男達。車のウインドウから、厳しい目つきで何かを眺めている母と娘らしき2人。モノトーンで写されたノイズが入った写真は、飾らないリアルな生活や風景を切り取っているが故に圧倒的な美しさを見せてくれます。
 
ここに写されたアメリカを探す旅に出たくなる、そんな写真集です。
 

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