Neglect Not The Gift That Is Thee
普通の人が越えようとしてもなかなか越えられない壁を、なんてことなくひょいと越えてしまう人がいます。そういうことを才能って言うんでしょうね。
トクマルシューゴのCDを聴きながら、そんなことを考えました。アコースティックギターとボーカルを中心に、ウクレレ、リコーダー、ミュージカルソーなど様々な楽器を自由に操り、紡ぎだすサウンドは、切なく繊細、幻想的で美しく、そしてポップ。60年代のヴァン・ダイク・パークス、ラブ、キャプテン・ビーフハートを思わせるようなサウンドになっています。
技術やセンスが素晴らしいのは、もちろんなのですが、ブルース、ジャズ、フォークからプログレ、パンク、ネオアコなどへ造詣と敬意をふまえて、オリジナルな音楽を作り出している。日本のミュージシャンが、越えようとして、なかなか越えられなかった壁を気負いなくさらりと越えてしまい、その壁の向こう側で奏でられている音楽に聴こえるのです。音楽を少しでもかじったことのある普通の人は、その才能にただ平伏するのみです。
ただし、私たちにも救いがあるとすれば、壁を越えようとして、でも越えられず格闘する姿もまた美しいこと。そんな人が壁を越えた瞬間は大きな感動を呼びます。最近YouTudeで話題になっているスーザン・ボイルさんの映像は、ひとつの才能が壁を越えた瞬間を感動的にとらえています。この映像を見た時に、ある言葉を思い出しました。
「Neglect Not The Gift That Is Thee
あなたの中にある神から授かった才能をないがしろにしない」
この言葉は、聖書からのフレーズなのですが、知ったのはプロフェッショナル・ユーザーのLieさんのカスタマイズから。誰もが何らかの才能を持っていて、大部分の人はそれに気付かないか、気付かないふりをしているだけなのかもしれない。きっと才能があると呼ばれる人達は、自分の持っている才能の芽をきちんと知っていて、研ぎ澄まし、開花させることが出来る人。
そう思うことで、ちょっと勇気が出ませんか?
・スーザン・ボイルさんの映像