2009年8月 3日

Cloud Collector

小さい頃は大抵の人がそうだと思いますが、私も想像の世界に浸るのが好きな少年でした。友達と近所の街を自転車に乗って走り回る時も、頭の中は宇宙空間や、ジャングルを走っている気分で疾走していました。
 
さらにそうやって見付けた秘密の場所は秘密基地として、冒険の拠点になりました。当時の東京の下町は、在木置き場や放置されて雑草に覆われた空き地が多く、子供達の隠れ家になるような場所を見付けることは、それほど難しくありませんでした。
 
図工が得意だった私は、仲間のメンバーカードやバッジなどを作ったり、架空の国の地図を描いたりしながら、その空想の世界の遊びに色を添えていました。当時の私は、この空想の国作り遊びにどんどんはまっていき、地図だけでなく、お金や国旗、さらに国歌まで作ったりしました。
 

 
この本はブログを読んでくれている友人から紹介していただきました。クラフト・エヴィング商会三代目である語り手が先代の祖父の古い手帳を見つけるところから話が始まります。その手帳には、「アゾット」という不思議な国を旅した旅行記が書かれていました。謎にあふれたアゾットへの旅の記録を、三代目が読み解いていくことで、話が進んでいきます。
 
「ガリバー旅行記」や「銀河鉄道の夜」のように、その旅先で起こる幻想的で不思議な現象は、さまざまな示唆に富んだメッセージに満ちています。
 
ところどころに挿入されているアゾットのお酒のラベルやタロットカードを描いた挿絵。さらに手帳からの引用と語り手の文章の刷色を変えていたりする装丁。摩訶不思議な空想の世界をリアルに作り込んでいくことで、独特の世界観が生まれています。
 
夏の夜、この本とともに、不思議な世界への旅に行ってみてはいかがでしょうか?
 
そう言えば、トラベラーズエアーのスノードーム、さらにはチケットケースやらタグなどを作ったり、世界各地のトラベラーズカフェのステッカーを作ったりするのは、昔やった空想の国作り遊びと同じようなことですね。やっぱり、好きなんですよね。