2009年9月29日

アメリカの古いカレンダー


 
例えば、ヴィンセント・ギャロの映画に出てくるようなアメリカの寂れた街にある古ぼけたモーテル。
 
雨の中ひとけがないハイウェイを走り続け、夜遅くにやっとモーテルのネオンサインを見つける。ホテルの名前が瞬くネオンの光が、フロントウィンドウに打ちつける雨粒に、眩しく反射する。ウィンカーを出し車を寄せ、サイドブレーキを引くと、よれよれの革のボストンバッグを取り出し、荒っぽく車のドアを開け放ち、外に出る。
 
モテールの入り口まで小走りで行き、ドアを開けて中に入ると、無愛想な男がチェックインカウンターに立って、こちらを品定めするように一瞥する。部屋があるかどうか尋ねると、フロントの男は、宿代だけをひとこと言い放つ。OKと答えると、面倒そうにキーを差し出した。カウンターにある真鍮のカレンダーを目にし、旅の日々が長くなってしまったことに気がついた。
 
前置きが長くなりましたが、そんなモーテルのカウンターにさり気なく置かれてあるかのような卓上カレンダーが、アメリカから届きました。
 
いつのモノかは定かではありませんが、黒ずんだ真鍮のボディの色から考えると、きっと私が生まれる前から、使われて来たものだと思います。眺めながら、このカレンダーが刻んできた日々を想像するのは楽しい時間です。
 

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