2009年10月16日

檳榔


 
夜、台湾の地方都市を走る車に乗っていると、道路脇に不思議な建物を見かけました。
 
紫やピンクに光る怪しいネオンサインの看板。中が素通しのガラス張り壁の小さな建物がぽつんと建っています。その中では、薄暗い灯りの中で女性が一人うつむいて何か作業をしているようです。しかも、その女性はロングヘアーできつめの化粧、上はノースリーブに、下はミニスカートをはいてあらわになった足を組んでいます。要は、娼婦のような格好をしている訳です。
 
日本で言えば、周りに何もないうら寂しい夜の国道沿いにあるほのかに灯りがともる潰れかかった小さな
ドライブインがあるような場所。妖しく光るネオンの中にいる派手な女性がその周りの場所の雰囲気にそぐわない分、どこか物悲しい気分になりました。
 
夜に街から街へ移動する間、同じような建物を何度も見かけ、とても気になったのですがその時は、ドライバーは言葉が通じなかったため、聞くことが出来ませんでした。
 
翌日、そのことを台湾の方に尋ねると、それは檳榔を売っているお店だということが分かりました。檳榔とは、東南アジアに昔からある噛みタバコのこと。檳榔を好むのは、たいてい男性であるため、彼らの気を引くために、そんな格好をしているとのこと。
 
なんだか、噛みタバコを売るのには、少し大げさな感じですが、台湾では、そんなスタイルで売るのが習わしだそうです。そんな視点であらためて見てみると、日本の国道沿いによくある、パチンコ屋さんやラブホテルなども、海外の人から見ると、かなり不思議な光景なのかもしれませんね。