2009年12月24日

Christmas Gift


 
二十歳のクリスマスの時、当時付き合っていた女の子からライターを貰いました。封を開けてみると、黄金色に輝く無垢の真鍮のジッポーでした。正直に言うと金色の輝きが少し派手な感じがしたのですが、好きな女の子から貰った嬉しさで、気にせず使い続けました。
 
カチンという金属的な音とともに上蓋を開けて、シュポッと火を付けるまでの一連の動作やほんのり漂うオイルの匂いが心地よく、使うほど道具としての愛着が増してきました。10日に1度くらいは裏蓋を開けてオイルを入れなければならず、便利さだけを追求していけば、100円ライターの方に利があるのですが、そんな面倒なところも、いかにも男の道具という感じで楽しむことができました。何ヶ月か使っていると、真鍮の表面の色合いが変わってきました。ツヤのある輝きが薄れて、にぶく黒ずんだ味が出てきました。まっさらなジーパンを履き続けるうちに、色褪せていくことで風合いが出てきて、自分の体に馴染んていくような感じでしょうか。
 
真鍮のライターも色がくすみ、深くなるにつれて道具としての美しさが増し、自分の歴史が刻まれていくような気がしました。そうなると、最初感じた違和感もなくなり、より愛着が湧いてきます。その翌年のクリスマスをむかえる頃には、このライターをくれた女の子とは別れてしまいましたが、その後もライターには新しい思い出が刻まれていきました。
 
それから6年後、東北で営業の仕事をしていた頃、そのライターをなくしてしまいました。出張で泊まっていた秋田のホテルに置き忘れ、気付いて取りに行ったときにはもうなくなっていたのです。今でも同じものを使い続けていたらちょうど20年だったと考えると、とても惜しいことをしてしまったと思ったりもします。
 
ちなみに今使っている写真のジッポーは3年前に会社の先輩からいただいたもの。会社の引越しの時、古い荷物を整理していたら引き出しの奥からそのジッポーが出てきたらしく、たまたま目の前を通りがかった私に、声を掛けてくれました。
 
「これ、昔なんかのイベントの記念品でもらったんだけどいる?」
「あ、はい...」
 
箱を開けると、煤けたかのように黒ずんだシルバー製のジッポーが出てきました。こちらは使うほどに輝きを増してきました。
 
クリスマスです。皆さんにサンタクロースから素敵なプレゼントが届くといいですね!
 
Merry Christmas to all the TRAVELERS!