2010年6月 7日

旅先での夕暮れ


 
旅先での夕暮れが好き。
 
例えば、バイクでの旅の途中、夕暮れ時に鄙びた温泉地を通りがかったときのこと。バイクを停めて、お風呂に入ることにする。ゆっくりとお湯に浸かりながら、疲れた体を癒す。お風呂を出て、ぽかぽかになった体で、温泉宿の軒下にある黒ずんだ木のベンチに腰を下ろし、乾いた喉を冷たいサイダーで潤しながら、太陽の光が少しずつ赤みを増していくのを眺める。そんな時間が好き。
 
優しい風が草の間を通って体に吹き付けてくると、少し肌寒さを感じて、Tシャツの上にダンガリーシャツを着る。タバコに火をつけて、しばらく、ぼ~っとしているうちに、今日はもう移動を止めて、この辺で宿を探すことにしようかなと考える。そう決めてしまうと、もう少しこの場所でのんびり夕暮れを楽しめることに嬉しくなって、読みかけの本を開いてみたり・・・。
 
そんな旅の自由さが夕暮れを楽しむ心の余裕を与えてくれるのかもしれません。
 
夏に旅をしたスペインでは、この夕暮れの時間がとても長く、永遠に続いていくかのような気がしました。夜7時過ぎ、オープンテラスのレストランで食事を始めます。すると、食事が終わる頃になっても、まだ空は明るい。10時頃になってようやく日が沈み、街には、夜のにぎわいがやってくるのです。
 
実際には夕暮れ時が長いわけではなくて、緯度と時間のズレの問題とサマータイムのため、日が暮れる時間が遅いだけなのですが、スペインの人々には、夏の夕暮れ時を目一杯楽しもうとする心の余裕があるのでしょうね。
 
旅先では楽しむことができる夕暮れ。普段の生活のなかで、その時間を楽しむことを忘れてしまっていることに気付きました。夕暮れが心地よい季節です。旅するように普段の生活でもその時間を楽しみたいですね。
 
さしあたって、今はSound Bumという旅先の音を録音したCDを聴きながら、まだ行った事がないハワイやキューバの夕暮れを想像したりしています。