2010年10月 4日

HOSTEL 64 Osaka


 
学生時代のバックパックの旅では、ゲストハウスと呼ばれる安宿によく泊まっていました。バンコクのカオサンストリート、ニューデリーのパハールガンジに、香港のチョンキンマンションなど、旅人が多く集まる都市には、ゲストハウスが集まっているエリアがあって、まずはそこに行って寝床と旅情報を得るというのが定番でした。当時はインターネットがまだなかったので、ゲストハウスのスタッフやそこに泊まる旅人たちから得られるリアルタイムの情報がとても貴重だったりしました。
 
シャワーやトイレが共有だったり、ドミトリーと呼ばれる相部屋だったりしてプライベート空間があまりなく、安いなりの不便さがあるのですが、開放的で自然と旅人同士の交流が生まれるのがゲストハウスの魅力でした。
 
質の良いゲストハウスの共有スペースでは、一人で孤独に本やノートに向かいたいときはそれを邪魔される事なく、誰かと話したいときには、スタッフや他のゲストと自然と会話が生まれる。年齢も国籍もさまざな種類の人達が集まる空間には、それぞれのゲストたちの間にちょうど良い距離感があったような気がします。

先日の京都イベントの後、大阪でもう一泊することにしました。その時泊まったHOSTEL64 Osakaは、海外にあった理想的なゲストハウスを思い出させてくれました。
 
古いオフィスビルを洗練させたデザインでリノベーションさせた小さなホテルです。私たちが泊まったのは、ドミトリーですが充分すぎる大きさの清潔なベッドがそれぞれ幕で仕切られていて、適度にプライベートが守られています。洋風であり和風でもある、古いのに新しい。海外では、その異国情緒と距離感によって、簡単に旅の非日常感を感じられますが、このホステル64では、隙のないデザインへのこだわりと気配りによって、日本にありながら、旅の高揚感や非日常性を感じさせてくれます。そして、豪華さとは違った本当の意味での上質を提供してくれる宿となっています。
 
こういう宿があると、旅が楽しくなります。ぜひ、旅慣れた大人の方にこそ泊まってほしい宿です。