Hand Rolling Tabacco
前にタイを旅していたときのこと。同じゲストハウスに泊まっていたドイツ人が、実に器用に手巻きタバコを巻いて吸っていたのを思い出します。
話をしている途中でも、それを止めることなく何気なく葉っぱと紙を取り出し、手の上でするすると一瞬で巻いてしまう。そして、口にくわえると、マッチを擦って火を付ける。その一連の動作が手品のようで、ゲストハウスの退廃的な雰囲気にもあっていて、とてもかっこ良く見えました。彼にタバコと紙をもらって、自分でもやってみましたが、紙はくしゃくしゃになって、葉もこぼれてしまって、うまく巻くことができません。なんとか吸おうと火を付けてみたけど、すぐに火は消えてしまいました。
その後、手巻きタバコのことはすっかり忘れていたのですが、年末に友人よりタバコの葉と紙、手巻き器を頂き、もう一度挑戦してみることにしました。手巻き器もありますが、やはりあの時のドイツ人のように手だけで巻けるようになりたい。ネットで巻き方を調べて何度かやってみるうちにコツをつかみ、なんとか巻けるようになりました。
夜、一人部屋で音楽を聴きながら、本を読んりノートに向かう時間、ゆっくり葉や紙の感触を味わいながらタバコを巻くのもなかなか楽しい時間です。
タバコに対して昔のように寛大ではない現在では外で巻くのは憚れますが、旅先ならばそんな時間も持てそうです。例えば、東南アジアの田舎の小さな街、人が少ないローカルな食堂やカフェのテラス席で、夕暮れの風景を眺めながら、ゆっくりタバコを巻いて吸う。例えば、ひとりテントで泊まる夜、コーヒーを飲みながら、焚き火を眺めている。ふと思い立ちタバコを巻いて火をつける。
そんなことを想像すると、また旅へ出たくなります。