2013年1月25日

ベーグルの記憶

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ベーグルという食べ物がぼくの生活のなかに現れたのは、いつからなのだろう。はじめてのベーグルの記憶をはっきり思い出すことはできないけど、それほど遠い昔のことではないのは間違いありません。
 
ベーグルが自分のなかに強い存在感を示したのは、10年くらい前に初めてアメリカに行った時のこと。ニューヨークに着いた日の最初の食事は、ふらりと入った高級スーパーマーケットの中にあるデリでした。そこは、オーガニックの野菜やざっくりと大きくカットされた肉がグラデーションになるように美しく山積みにされていて、見ているだけで楽しい気分にさせてくれるスーパーマーケットでした。
 
さらにその奥にあるデリコーナーには、チーズがたっぷり添えられたサラダ、オリーブとバジルの冷製パスタ、パストラミやテリーヌといった珍しい惣菜、目の前でカットしてくれる生ハムなど、食指が動く食べ物がずらりと並んでいます。今度は見ているだけではすまなくなって、食事をすることに決めました。特に印象深かったのが、ハムと野菜のベーグルサンド。瑞々しいベジタブルとスモークされた香り高いハムをサンドしたベーグルは、今まで食べたサンドイッチとは全然違っていて、思わず感動するような美味しさでした。
  
それ以降、すっかりベーグルを気に入ってしまい旅行中は毎日のように食べていました。たっぷりとしたフィリングが詰まったベーグルもいいですが、モーテルの朝食でフリーで出されるような、軽くトーストをしてクリームチーズとブルーベリーのジャムを塗って食べるベーグルも美味しかったな。この幸福な出会いのおかげで、ぼくのにとってベーグルのイメージは、ニューヨークの華やかな雑踏やLAの抜けるような青空の下を旅した記憶を伴っているものになりました。
 
たから、谷中を歩いていて、旅ベーグルという屋号のお店を見つけたときには、悩むことなくそのベーグルを食べようと思いました。そして、運よく購入できた焼きたてのベーグルを食べた時、あまりの美味しさに、家で食べようと思って余計に買っていた分まで、歩きながら食べてしまいました。
 
少しこぶりのもちもちしたベーグルは、アメリカのものより繊細で優しい味。旅を感じながらも下町の日常に溶け込んだ日本を感じさせる味でした。そして、ぼくのベーグルのイメージは、旅と日常が素敵に混ざったものになりました。

最初のベーグルとの出会いから10年。今週末26日、トラベラーズファトリーのイベントで、アアルトコーヒー庄野さんのハンドドリップコーヒーと一緒に、旅ベーグルのベーグルが食べられると思うとなんだか感慨深いものがあります。
 
イベントでは、美味しいベーグルの味をさらに引き立てるようなディップと一緒にお出しします。特にダン・ラ・ナチュールのキャラメルクリームを使用した豆乳キャラメルクリームのディップはぼくらが何度も試作を繰り返して作った自信作。皆さんにとってのベーグルとコーヒーの世界がさらに広がるような、そんなイベントになれば嬉しいです。
 
 

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