2014年1月 6日

街を変える小さなお店

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年末の休み、久しぶりに伊豆へ行って来ました。温泉宿に泊まった翌日は、下田まで足を伸ばし、趣きのある風情の古い港町を歩きつつ、その場所へ行くといつも訪ねる喫茶店、邪宗門に立ち寄りコーヒーをいただきました。
 
蔵のような店内に入ると、羅針盤や舵などのアンティークの船具が所々に置かれ、BGMは古いシャンソンが流れています。
古き良き異国情緒を感じさせてくれる雰囲気が下田らしくて好きで、そこでコーヒーを飲む時間は旅の幸せを感じさせてくれるのです。ここはぼくにとっては、那須のSHOZO CAFE、京都のエレファントファクトリーコーヒー、香港の美都餐室などと同じように、旅した時に安心して訪ねることができるカフェで、勝手ながら、これからもそこにあって欲しいと願ってやまない場所のひとつ。
 
その土地ならではの文化や運営する人のセンスが反映された個性的なお店で、地元の人々の日常にしっかりと根付きながら、同時に旅人たちもあたたく受け入れてくれる。地元の人の日常と旅人たちの非日常の両方が心地よく混ざり合うことで、独特の雰囲気が生まれる。徹底的にコスト追求されたチェーン店よりすこし割高かもしれませんが、マニュアルには記すことができない人のあたたかさと、そこにしかない「らしさ」を感じることができる。それはカフェだけでなく、食堂や本屋、雑貨屋なども一緒で、旅に出たときにも、日常でもそんなお店に立ち寄るのが好き。
 
同じようなお店が好きな方におすすめなのが京都の恵文社一乗寺店店長、堀部さんの著書、「街を変える小さなお店」。ぼくらの憧れの本屋さん、恵文社が今のような形になるまでの話を中心に、京都の個性的な喫茶店や本屋、居酒屋などを商いのやり方、その考え方を紹介しつつ、その魅力と個人店のこれからを考えさせてくれる本です。
 
大型チェーンやアマゾンなどの巨大ネットショップの影響がありながらも、独自の道を歩みながら人々に必要とされ、商いを続けているお店。そんなお店を愛するユーザーとして、さらにトラベラーズファクトリーという小さなお店を運営するものとしても、とても共感と勇気をもらうことができる本でした。
 
「生活の一部である嗜好品、街の延長としての場は、合理性とは相容れない部分もある。同じことは、本屋や出版業界にもあてはまるのではないだろうか。本は商品だけど、文化でもある。論理的には説明出来ない『なにか』があるからこそ、文化は継続されるのだ。」
 
これからの時代この「なにか」が今まで以上に大切になってくるような気がします。トラベラーズノートにもそんな「なにか」が存在し、使い手たちがそれぞれの「なにか」を書き留めるノートだと思っています。
 
1月17日と18日には、著者の恵文社店長堀部さんと、アアルトコーヒーの庄野さんがファクトリーにやってきてくれて、トークイベントを行います。本とコーヒーが好きな方はもちろん、なにかをはじめようとしている方もぜひ遊びに来て
ください。こちらで予約受付中です。
 
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