2015年11月30日

金魚とACE HOTEL

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一人暮らしをしていた頃、小さな水槽で金魚を飼っていた。引っ越したばかりの時に、必要な家財道具を揃えるために足を運んだホームセンターで売っているのを見つけ、ふと思い立って水槽と何匹か金魚を飼って買うことにしたのだ。
 
会社に入り最初に配属されたのが地方営業所で、それまで縁もゆかりもない場所で一人暮らしをはじめたので、友人もいないし、休日はどこか手持ち無沙汰で、暇がたっぷりあった。だから、家に帰ると、新しいおもちゃを手に入れた子供のように、わくわくしながら、水槽に砂利を敷き詰め、ポンプを設置して、水を入れた。ぼんやりと余計なことを考えず、水槽で泳ぐ金魚を眺めながら、餌をパラパラと与えたりするのは、なかなか気持ちのよい時間だった。
 
最初は4、5匹いた金魚は日を追うごとに減り、最後には2匹だけになってしまった。だけど、そのサイズの水槽で適正なのが2匹だったのか、それ以降は長生きしてくれた。月に何度かは出張で、数日家をあけたし、根っからの不精だから水槽もそれほど頻繁に掃除しなかったのに、すくすくと成長し、少しずつサイズも大きくなった。ぼくは、2匹にそれぞれ「きん」と「ぎょ」という名前まで付けた。結局5年間ともに暮らし、僕が引っ越しをすることになった時、誰かにあげたんだけど、その後のことはよく覚えていない。
 
なんでそんなことを思い出したのかというと、村上春樹氏のエッセイを読んでいたら、金魚の話が出てきたから。氏がシアトルのあるホテルにチェックインし、部屋に落ち着くと、ボーイが中に金魚が泳ぐガラス鉢を部屋に持ってきて机の上に置き、にっこり微笑み出ていったそうだ。ホテルの部屋でぼんやり金魚を眺め、そんなサービスは心に残るものだ、と書いている。
 
ホテルの部屋でのサービスと言えば、ACE HOTELでレコードプレイヤーが置かれているのには、ちょっと感動した。ロンドンでもそれはやっぱり置かれていて、あわせて何枚か置かれているレコードのなかに、僕の好きなアズティックカメラのレコードを見つけて早速ターンテーブルに載せた。旅先でのホテルの一室でのそんな経験は楽しい。ホテルの隣には、シスターレイというイカした名前のアナログレコード専門店もあって、そこでお気に入りのレコードを買って部屋で聴くなんてこともできる。そこで見かけて、後で買おうと思っていたスミスのレコードを結局買いそびれてしまったのが、ちょっと心残りだったりする。

ACE HOTELでのイベントは、宿泊客以外にも開放されている広めのロビーで開催されたのだけど、とても気持ちの良い時間だったなあ。ずっと流れているBGMは好みにドンピシャだし、スタッフも素敵な人ばかり。みんな、仕事中に何度も様子を見にきて、声をかけてくれて、自分の仕事の時間が終わると、嬉しそうにノートバイキングに参加してくれた。温かいホスピタリティがあって、同時に自分たちの仕事に誇りを持ち、それを楽しんでやっているのが伝わってくる。
 
さらに、初日の夜には、トラベラーズノートをイメージして作ったオリジナルのカクテル「トラベラーズテールズ」が、参加者みんなに振舞われたり、切り絵やコラージュ作家の方が参加してイベントを盛り上げてくれた。そういえば、ここではあのtokyobikeさんがACE HOTELのために作った自転車を借りることができて、僕らはロンドンの街をtokyobikeで走るなんていう至福のひとときを過ごすこともできた。
 
さて、そのイベントでお披露目をしたACE HOTELとのコラボレーションモデルがいよいよトラベラーズファクトリーにも登場します。トラベラーズファクトリー中目黒とエアポートでは週末の12月5日より、オンラインショップでは、12月8日より発売開始します。
 
12月5日は、寄木チャームとカリンバワークショップに、木工集団「BANDA luthier」のライブもあります。カリンバワークショップとライブは予約受付中です。ぜひ、あわせて遊びにきてください。

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