僕の好きなサニーデイ・サービスのアルバムジャケットの写真を使った表紙が目に止まり、手に取った、昭和30年代に書かれた、獅子文六の小説『コーヒーと恋愛』を読んでいると、脇役女優である主人公のヨーロッパに旅立つシーンがある。
　
1ヶ月程度の旅の予定なので、別れを惜しんでというわけではないのに、友人知人が花束を持って見送りにきて、いよいよ飛行機に乗り込む時には、みんなで万歳三唱をしていたりする。女優として忙しくなってきたとき、車を購入してお付きの運転手を雇うのと、1ヶ月程度の洋行のどちらがいいかと、悩む場面があるんだけど、この時代には、ヨーロッパに行くというのは、運転手付きの車を手にいれることと同じくらいお金もかかるし、大きなことだったということが分かる。
　
今はヨーロッパに行くということが、当時ほど大げさなことではなくなっていると思うけど、トラベラーズノートのイベントをヨーロッパで開催するというのは、ぼくらにとってはけっこう大きなことで、トラベラーズノートの新たな歴史を作るような、気分なのです。

イベントの最初の開催場所、アムステルダム、MISCELLANEOUSのブリジッタさんより、イベントに先駆けてスタートしたポップアップコーナーの写真が届きました。ブリジッタさんのことは、トラベラーズタイムズ最新号にも掲載していますが、7年前に日本でトラベラーズノートに出会いそれを自分たちの国で広めていきたいと声をかけてもらったことから始まりました。ポップアップコーナーの写真からも、そんな彼女のセンスとトラベラーズノートに対する愛が感じられます。
　
さらに去年ポートランドとLAで泊まって、すっかり魅せられてしまったACE HOTELとのコラボレーション、そのお披露目を、ACE HOTELのロンドンで開催し、ベルリンは初めての訪問です。

冒頭で紹介した小説『コーヒーと恋愛』は、コーヒーをおいしく淹れることができる主人公がコーヒー目当てで近寄る男に嫌気がさして、本来の仕事である女優業を追求する覚悟を決めて、旅に出るのですが、ぼくらも本来の仕事、ノート作りをヨーロッパで追求してきます。いよいよ今週出発です。イベントの模様は、twitterやfacebookでも発信していく予定ですので、ぜひご覧ください。