台湾の町歩きは油断できない
台湾での最後の日。前日の打ち合わせは夜遅くまで長引き、すっかり疲れ切ってしまい、夕食をフードコートで簡単に済ませると、そのままホテルに戻りすぐに眠ってしまった。
最終日は、お昼過ぎに空港に行くまでの数時間、ホテルの近所を歩いて過ごすことにした。まずは、近くの早餐店で朝食。タンピンというクレープのような皮でハムや玉子焼きを挟んだものや、台湾風のハンバーガーなどを食べる。ここでは、飲み物はコーヒーより甘いミルクティーや豆乳が美味しい。
前日に台湾の方から、近くに迪化街という問屋街があると聞いていたので、そこへ向かった。歴史を感じる古くて重厚なレンガ造りの建物や今にも崩れそうな建物に、お茶や乾物、食器、竹細工などを売る店が連なる街並みは、歩くだけで楽しい。途中、肉まんを蒸している屋台を見つけ、歩きながら食べる。木工品を売るお店で、ちょっと素敵なペン立てと、コーヒー用のメジャースプーンを見つけて購入。さらに、かき氷屋さんでひとやすみ。
この街は、昔からの店だけでなくて、古い建物をリノベーションした新しい雑貨屋や洋服屋、本屋などもある。古いものの中に新しいものが心地よく溶け込む街は、今も健全に成長しているようで、歩くだけで嬉しくなってくる。問屋街の中心あたりに着くと、ひときわ賑やかな場所に出る。食堂が3軒連なっていて、店の外にまでテーブルが並び、たくさんの人が何かを食べている。もう一目見ただけで、ここは間違いないという匂いがぷんぷんする。
ちょうどお腹が空いてきたから迷うことなく、テーブルに腰掛けて見よう見まねで肉かけご飯やスープをオーダー。もちろん美味しい。12月の台北は、長袖のシャツがちょうど良い。暑くもなく寒くもない、もしかしたら1年で一番すごしやすい季節かもしれない。気持ち良い街歩きに、あっという間に時間は過ぎていった。
そろそろ帰ろうと戻る道すがら、何もない裏路地に一箇所だけ、人が固まっているお店を見つける。覗いてみると、どうやらラーメン屋のようだ。歴史を感じる佇まいと、笑顔で順番を待つ台湾の人たちを見ていると、それほどお腹がすいていないのにもかかわらず、列の後ろに並んでしまう。うん、まだもうすこし入りそうだ。そんな風に限界まで詰め込んでしまうから、台湾の町歩きは油断できない。