日曜日の夕方。近所の江戸川沿いを自転車で走っていると、夕焼けの地平線に富士山のシルエットが見えた。さっそくiPhoneで写真を撮ってみると、なんだかとても小さく感じて、実物とは違うものみたいだった。きっと周りにビルとか建物がなければもっとはっきりと見えただろうから、その時代に暮らしていた人たちにとっては、遠くにあっても身近に感じる山だったんだろうな。

そのまま近所の健康センターに行って、サウナに入る。サウナで本を読むのが好きで、先日古本屋で買った倉本聰さんのエッセイ集を読む。すると一昨年にトラベラーズタイムズの取材で倉本さんが話していた「海舟日記」のエピソードが、聞いた通りほぼそのままで書かれているのを見つけて、嬉しくなった。35年前に出版された本なんだけど、ずっとぶれずに同じことを言ってるんだな。
　
サウナで汗を流した後、お風呂に入る。何人かが洗い場で体を洗っている。隣のおじさんは、風呂場にある椅子と桶を、石鹸をたっぷりつけて執拗にゴシゴシ洗ってから、腰をかけた。随分神経質だなあと思っていたら、その隣の人は椅子に座らずに中腰で洗っている。ちなみに僕はお湯をさっと流し、どかっと腰をかける。そんなことにも人それぞれでいろいろなやり方があるんだな。
　
家に帰り、コーヒーを飲む。豆は、前日トラベラーズファクトリーのイベントで美味しいコーヒーを淹れてくれた、アアルトコーヒーの庄野さんと、かもがわカフェの高山さんのお二人の豆をブレンドしたgreen mild。いつもとちょっと淹れ方を変えて、高山さんの淹れ方を真似てみた。豆は少し多めに挽いて、最初に全体にちょっとずつお湯を垂らしていく。そしてお湯は少し早めに注ぐ。
　
コーヒー教室で、お二人はコーヒーの淹れ方は自由なので、自分の好みをやり方を見つければいいと言っていたけど、僕はいい加減だから、豆の量も淹れ方も適当で、味はいつもぶれる。だけど、しみじみ美味しいなあと思える日もたまにあって、その時もそんな風に思える味だった。
　
自転車に乗って近所で富士山を見たり、サウナに入ったり、どうでもいいことを考えたり、一杯のコーヒーを飲んだりして過ぎていく。日記に書くほどのことでもない、なんてことない休日だけど、こんな休日も結構悪くないなと思うようなったのは年をとったからなのかな。