2016年5月 2日

本の魅力

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本の佇まいが好きだ。本屋さんで、なんとなく棚を見ていると、突然、光を放つように目に飛び込んできて、まるで一目惚れのように手にしてしまう本に出合うことがあるんだけど、そんな時は、もうそれだけで胸が高鳴り、喜び勇んでレジに持って行ってしまう。例えば、旅先でなにげなく入った古本屋でそんな本に出合ったりすと、もうそれだけで旅の感動は何倍にも膨れ上がったような気分になる。
 
本を読むのももちろん好きだけど、タイトルや装丁が醸し出す佇まいが好きなだ。手に取り、紙の質感を感じ、ゆっくり表紙を開き、パラパラとページをめくる。自分と波長がぴったりあう本に出合うと、その一連の動作すべてにワクワクしてしまう。さらに、そんな本が何冊も集まり、積み重なれば、そこにはひとつの世界が生まれ、なんとも言えない清々しい空気を醸し出していく。
 
クレイジーな天才、孤独な反逆者、無鉄砲で命知らずの冒険家、生活を破綻させながら美を追求する芸術家、バカバカしいことに命がけの道化師、ここではないどこかを探し彷徨う旅人。そんな、世の中の常識や現実に疑問を抱き、本気で世界を変えたいと信じている人たちの声が、本の中から聞こえてくるようで、その場にいるだけで、気分が高ぶり勇気が湧いてくる。
 
この感覚は、デジタル書籍では得ることのできないもので、これからの本はそういった佇まいや質感、空気感のようなものが今まで以上に大切になってくるのだと思うし、そこに本やノートなどの紙の未来があるような気がする。
 
最近、すったもんだのあげく古物商の許可を得ることができたんだけど、それによって念願だったトラベラーズファクトリーでの古書の販売ができるようになった。少しずつですが、古書を揃えていきたいと思うので、それらの本が醸し出す空気を感じ、さらには一目惚れのような本に出合っていただけたら嬉しいです。
 
また、本を読む気分を少しだけ盛り上げてもらえたらいいなと思って、本のためのブラスクリップを作りました。太宰治、芥川龍之介、梶井基次郎の名作をモチーフにしたクリップです。それぞれの一節を印刷した台紙にセットしています。これはシリーズ化できたらいいなと密かに思っているので、ぜひ、古本とあわせてよろしくお願いします。
 
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