2016年6月13日

TRAVELER'S Camp

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降ったり止んだりをしつこく繰り返していた雨は、夜の帳がおりてくる頃になるとようやくあがり、雲の隙間から月が顔を出した。ぼくらは、他にほとんど人がいない平日のキャンプサイトの広いスペースを独占して、iPhoneに繋いだ小さなスピーカーから静かに流れるボブ・ディランやエリオット・スミスを聴きながら、焚き火の炎やその近くに置いたキャンドルの火を眺めていた。
 
それぞれ思い思いにバーボンやコーヒーを飲んでいるけど、誰も陽気になることもなく、言葉少なく、静かに炎を眺めている。決断しなければならない問題はあるし、それぞれちょっとした悩みや悲しみを抱えていたりする。だけど、焚き火を囲んで、同じ火を見つめているだけで、あえてそれを言葉にしなくても、お互い理解しあえたような気分になっていた。
 
結局、やるべきことはやるしかないし、悲しみや辛いことは受け入れて消化していくしかない。同時にぼくらは、何度も楽しみや喜びが生まれる瞬間に共に立ち会ってきたし、これからもそれが生まれそうな予感を共有している。ゆらめく炎を眺めていると、心の小さな傷やトゲトゲしい部分が、やわらかい膜に包まれていくように、みんな温かい気持ちになっていった。ぼくは心配性ですぐ不安になってしまうけど、こんな仲間たちがいれば大丈夫。すべてうまくいくはず。そんな風に思えてきた。
 
ここに来る途中、新潟加茂でボーダーシャツを作るG.F.G.S.さんに立ち寄らせてもらった。1時間ちょっとの滞在だったけれど、オーナーの小柳さんと話をすることで、トラベラーズファクトリーでの次のイベントがとても楽しいものになりそうで、ワクワクしている。さらに翌日も、ぼくらが憧れるモノづくりの方々と話ができて、共感する部分も多くて嬉しくなった。
 
ここ何日か、仕事でいろいろな方とお話しをする機会が多くて、あらためて思ったのは、やっぱり素敵なモノは、素敵な人たちによって作られていて、ぼくらが好きだと思うようなモノを作る人たちとは、共感するところが多いということ。だから、素敵で好きだと思える人たちと仕事をしていきたいし、ぼくらの作るモノを好きだと言ってくれて、仕事を依頼してくれる方には、全力で報いたい。ぼくらはそうやって強くなってきたし、これからもそのやり方は変わらない。いろいろ不安もあるけど、仲間たちがいれば、大丈夫。すべてうまくいくはず。

夜が明けて朝になると、前日にどんよりと垂れこめていた雨雲はすっかりなくなり、抜けるような青空が広がっていた。草原の匂いと温かい日差しのなかで飲むコーヒーもたまらなく美味しかったなあ。

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