Short Trip to Shanghai
中国、清の末期の歴史を描いた浅田次郎氏の連作を今読んでいるのだけど、これがすこぶる面白い。「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」を読んで、「中原の虹」の3巻目を読んでいるところ。続きが気になって読むのが止まらないという読書体験は、けっこう久しぶり。
そんな状態だったから、久しぶりに上海に行くことになった時、その時代の息吹のようなものを見つけるのが楽しみだった。上海で泊まったのは幸運にも、西太后が国の実権を握っていた清の末期から営業している老舗ホテル、アスターハウスホテルだった。当時外国人居留区だった場所にできた建物は、歴史と風格とともに、その頃の上海の空気を感じさせてくれた。
ぼくが最後に上海を訪れたもう10年以上前のことで、トラベラーズノートが発売する前。ここ数年の間にトラベラーズノートを扱っていただいているお店が少しずつ増えてきていると聞き、香港キャラバンの後に立ち寄ることになった。
中国の方に案内してもらったそれらのお店は、上海のアパレルブランドが展開するセレクトショップや、デザイン書や写真集などが並ぶアート系書店、カフェを併設する雑貨屋に日本や欧米の文具を扱うステーショナリーショップなど、どれも洗練された素敵なお店ばかり。小さいながらも、セレクトにこだわりや独自のセンスを感じるお店がずいぶん増えているのが印象的だった。日本の旅を記録をイラストとともに記したトラベラーズノートをぼくらに見せてくれたスタッフもいて、すっかり嬉しくなってしまった。
同時に、合間をぬって覗いた食材の市場や路地裏の佇まいも魅惑的。見ることができたのは、ほんの一部でしかないけど、次はそのあたりをゆっくり探ってみたいなと思った。
何かを語るには、あまりに短い滞在だったけどきっと、また近い将来再び訪れることになるのだろうな。