Happy New Year 2017
昨年10周年を迎え、トラベラーズノートとともに迎える新年も11回目となった。(ほんとうは発売の前年にサンプルとして作ったのを持っていたから12回目なんだけどね)
「10年ひとつのことを持続すればどんな奴でもまあ、一丁前になる」と吉本隆明氏が言っていたそうだけど、最近になってちょっとだけ、その意味がわかったような気がする。文房具や雑貨などの業界では毎年ほんとうにたくさんのプロダクトが生み出されている。そんななか、同じモノが10年以上残っていくのは、けっこう難しいことだったりする。そのためには、作り手や、それに代わる誰かが強い意志と深い愛情とともにそのプロダクトに寄り添っていくことが大事だと思う。
トラベラーズノートがここまで続いてきたのは、作り手である僕らだけでなく、愛情を持ってこのノートに関わってくれる人たちや使ってくれている人たちがたくさんいたからに他ならない。もし今、トラベラーズノートが一丁前と呼ばれるようなものなれたとするならば、そうやって 10年もの間たくさんの人たちに愛されて使われて、鍛えられていったからだと思う。
47歳の僕にとっては、10年はあっという間に過ぎていったような気がするけど、10年前には、スマホやSNSはまだなかったし、今の日本の電気メーカーの劣勢や、逆に日本にこれだけ多くの外国人観光客が訪れている状況は、想像できなかったような気がする。なにより、5年前にはあの大震災があって、今でも多くの人たちに大きな傷を残している。また、10年の間には、子供がうまれたり、転職したり、恋をしたり、失恋したり、それぞれの人生の中で記憶に刻まれて転機になるようなことがあった人も多いと思う。そんな中で、たくさんの人たちの生活に寄り添い続けてきた10年間の歴史こそがトラベラーズノートの宝であり、他にはまねできないなによりの強みだと思う。
次の10年に向けて、抱負や展望を聞かれることも多いけど、今までだって、トラベラーズノートが導いてくれる流れに身を任せて、風の吹くまま、気の向くままに直感を信じて進んできただけだし、これからもそれは変わらないような気がする。何より作り手である僕ら自身がトラベラーズノートに飽きることなく、その仕事を楽しむことができたら、これからも可能性は広がっていくと思っている。今だって、今年の旅を想像してワクワクしている。
さて、2017年。今年は僕は年男で、偶然、デザイナーのハシモトも周回違いの年女。だからというわけではないですが、チーム一同、いつも以上にがんばりますので、今年もトラベラーズノートをよろしくお願いします。それでは、2017年もよい旅を!