青春18切符の旅
朝6時に家を出てJRの駅に着つくと、改札で青春18切符に日付入りのスタンプを押してもらった。ちょっと青臭くて気恥ずかしいけど、意外と気に入っている名前のこの切符を久しぶりに手にすると、それだけでどこへでも行けそうな気分になる。その名前からはずいぶんかけ離れた年齢だし新幹線や飛行機に乗って旅をすることだってたくさんあるけど、お金はそれほど必要なくてその分時間がたっぷり必要な18切符での旅は、旅の原点みたいなものを思い出させてくれて、わくわくしてくる。
6時45分に東京駅に到着。東海道線に乗り換えると、西に向かって進んでいることを実感できる。8時14分小田原到着。その後熱海、沼津、掛川で電車を乗り換え、名古屋を通過したのは13時頃。この辺りになると、電車はボックスシートが多くなり、車窓を眺めながらの旅が楽しめる。
変わりゆく風景を横に感じながら本を読んでいると不思議にページが進む。こんな風にのんびり本が読めるのも鈍行電車の旅の魅力のひとつだ。車窓から見える東海道の風景と本の舞台となっている戦前の中国の風景を頭のなかで行き来する。
13時46分に着いた大垣駅では改札を出て、この日はじめてのタバコを吸った後に、お昼ご飯に駅前のパン屋で菓子パンを買う。青春18切符は、思い立った時に途中下車ができる。本当はその土地の名物を食べたかったけど、時間もないし、駅のホームでパンをかじるのも、18切符の旅らしくていいなと思った。それはそれで美味しかったしね。
米原から姫路までは快速で一気に進む。本を読んでいるうちに眠ってしまったようで、京都も大阪も気づかないうちに通り過ぎていた。姫路の駅で降りると、姫路城が目の前に見えたので、近くまで歩いてみる。あまりの暑さでアイスキャンディーを舐めながら歩いた。姫路城では、トラベラーズノートとともに写真を撮ると、そのまま駅まで引き返した。ここから岡山まで乗り換えなしで1時間25分。旅は順調に推移している。
電車が進むにつれて、車窓の景色は夕闇に包まれていくと、ヘッドフォンからは、ダニエル・ジョンストンの曲が流れてきた。悲しくて切ないその曲を聴きながら、薄暗くて寂しい外を景色を眺めていると、自然と感傷的な気分になって、いろいろことが頭の中を巡った。今日の旅もまもなく終わろうとしていた。そして、20時34分、目的地の岡山駅に到着。駅に着くと、ラーメンを食べて安ホテルに泊まった。旅の続きはまたあらためて。